曹洞宗の東香山大乘寺(金沢市長坂町、TEL 076-241-2680)は、同山を開いた徹通義介禅師(てっつぎかいぜんじ)の700回御遠忌を10月14日に迎えるにあたり、4月より記念行事を行っている。5月16~17日には、寺宝の一部が45年ぶりに初めて里帰り公開される。
福井県の曹洞宗大本山永平寺の第3代を務めた同禅師は1289(正応2)年、現在の石川郡野々市町で大乘寺を開き、1309(延慶2)年陰暦9月14日に数え年91歳でこの世を去った。
同山は加賀の地に開かれた最初の曹洞宗寺院で曹洞宗第二の本山とも称され、重要な文化財を数多く所蔵している。寺宝は昭和39年より石川県立美術館で保存管理されているが、5月16~17日に同山内で開催される特別展示では、「一夜碧巌(へきがん)集」「紙本支那禅刹(しなぜんさつ)図式(寺伝五山十刹図)」など5点の重要文化財を含む約20点の宝物が里帰り公開される。
「一夜碧巌集」は禅修行の100則と奥義を記したもので、道元禅師が中国から日本へ帰る前日、白山妙理大権現の助筆を得て一夜で書写を完了したというエピソードを持つ宝典。「支那禅刹図式」は徹通義介禅師が中国で書写したものと伝えられる。中国の名刹について詳しく図示した2巻で、いずれも11メートルを超す長巻。公開時間は10時~15時。
6月16~30日は、同山蔵司・木内美峰(きうち・びほう)老師による写真展が「浅の川吉久 ギャラリーひがしやま」(東山3、TEL 076-213-2222)で開かれる。山内に咲く花や樹木など同山の四季や、寒行托鉢(かんぎょうたくはつ)、涅槃会(ねはんえ)だんごまきなどの行事をとらえた作品のほか、インド仏教美術探訪の旅の写真十数点が展示される。「大乘寺の自然が撮ってもらってもいいように姿を現したところにレンズを向けて記録した」(木内老師)という作品には、同山で修行し、四季を過ごす老師にしかとらえることのできない一瞬の風景が映し出されている。開催時間は10時~17時。水曜定休(祝日は営業)。7月5日より、同山にて引き続き展示される。
記念行事として、9月まで同山の東隆眞(あずま・りゅうしん)山主による禅セミナーがANAクラウンプラザホテル金沢(昭和町)で開催されるほか、お香の会、音楽会などの開催も予定されている。本法要は10月11~14日に行われる。