金沢のひがし茶屋街で4月11日、「金沢・浅の川園遊会 越中八尾おわら流し」が行われ、多くの市民や観光客がおわらの風情を堪能した。
毎年9月に富山県八尾市で行われる五穀豊穣(ほうじょう)を願う祭り「おわら風の盆」の男踊り「かかし踊り」と、女踊り「四季踊り」は昭和初期、ひがしの芸妓(げいこ)に踊りを指導していた日本舞踏・若柳流の若柳吉三郎が振り付けたもの。八尾での40日間にわたる稽古には芸妓たちも駆け付け、八尾の人々に振り付けを教えたという。これにちなんで同茶屋街では6年前から、毎年この時期に「越中八尾おわら流し」を行っている。
当日は「富山県民謡越中八尾おわら保存会」の踊り手、はやし方約20人が出演。ぼんぼりがともる茶屋街のメーンストリートで、哀愁あふれる胡弓(こきゅう)や三味線の調べに合わせて、浴衣に編みがさの踊り手が優雅に踊り流した。終盤は広見で輪踊りが行われ、見物客も参加して大いに盛り上がった。
静岡県から観光で訪れた母娘は「富山出身の知人に素晴らしいと聞いていたので楽しみにして来た。難しい踊りだと思うが、とても美しかった。胡弓や三味線の音色を間近で聞けたのも良かった。北陸旅のいい思い出ができた」と喜んだ。市内在住の女性は「力強い男踊り、上品な女踊り、美しい演奏の融合が素晴らしかった」と話した。外国人観光客も多く、日本の伝統的な踊りに興味津々の様子だった。
浅の川園遊会実行委員会では7月25日~8月9日、夏の浅野川の風物詩「白糸川床」の開催を予定している。