金沢で活躍する4人の加賀友禅作家らが共同で制作したオブジェ「友禅流し 清流」が10月10日完成し、現在同市で開催中のファッションメッセ「おしゃれメッセ」で披露されている。
完成したオブジェは、金沢を代表する伝統工芸である加賀友禅の技法で染め上げた生地と、アーチ状の金属フレームから成り、流水に反物を泳がせてのりを落とす「友禅流し」と呼ばれる加賀友禅の制作工程を立体的に表現している。
友禅染の生地は、1枚が約3メートル。「水」を共通のテーマとしながらも、4人の作家がそれぞれ意匠や構図に工夫を凝らして個性を発揮している。フレーム部分は内装材制作のカラーマーク(石川県小松市)が担当し、筆や伸子(しんし)など、加賀友禅の制作に欠かせない道具の材料である竹を添わせて動きを出した。
制作に携わった加賀友禅作家の中出学さん(43)は、「永遠、長寿、誕生などさまざまな意味を持つ『波』をモチーフとし、加賀友禅らしい表現を意識して制作した。繊細な手技ざを間近で見てもらえれば」と話す。
オブジェは「しいのき迎賓館」(金沢市広坂2)でお披露目され、加賀友禅伝統産業会館(小将町8)に展示されている。