数学をテーマにした金工インテリア作品展「スウガクと暮らす」が現在、石川県立伝統産業工芸館(金沢市兼六町、TEL076-262-2020)で開かれている。部屋に見立てた会場には、ルート記号をかたどった収納用品などが展示されており、来場者は子どものころを思い出しながら見て回っている。
制作したのは東京都板橋区在住の金工作家、今井みのりさん(23)。近年、人をモチーフにした作品を制作していたため、今回は「真逆」の無機質なものを作りたいと、「数学」をテーマに選んだという。モチーフにしたのは、算数・数学の授業の中で好きだった図形やグラフで、さらに高校時代の教科書を参考にして数を増やし、それぞれに実用的な機能を持たせた。
ルート記号をかたどった収納用品は鉄製で、中に磁石が仕込まれており、はさみや金属製の定規などをはり付けることができる。作品はこのほか、二等辺三角形・正三角形のハンガー、「二次関数のグラフと直線で囲まれた部分」に筆記用具などを入れられるウオールポケット、棒グラフをイメージしたマガジンスタンドなど31点。
今井さんは「数学の教科書には複雑な図形や暗号みたいな数式、ヘンテコな記号など、不思議なワクワクがいっぱいある。(かつては)嫌な思いもあったかもしれないが、昔見慣れたものを新鮮で楽しい気持ちで見ていただけたら」と来場を呼び掛ける。
同館の柳井篤子館長代理は「さまざまな分野の伝統的工芸品の作り手にぜひ見ていただきたい。日常生活の中で使うことができ、かつ遊び心があり、『欲しい』と思ってもらえるような作品作りのヒントになることを願っている」と話す。
8月16日には、金属のオリジナルアクセサリーを作るワークショップを開き、今井さんが講師を務める。小学3年生以上が対象で、参加費は850円(材料費)。予約不要。
開館時間は9時~17時。第3木曜休館。入場料は、18歳以上=250円、65歳以上=200円、17歳以下=100円。9月1日まで。