石川県内の酒造会社の社員らが郷土の酒造りについての知識と技能を養う県清酒学校が6月7日、開講した。
同校は県酒造組合連合会が主宰する。従来、季節雇用の杜氏(とうじ)制度に頼って来た県内の酒造会社では近年、杜氏の高齢化に悩み、社長や家族、社員が自ら酒づくりに携わろうと発想を転換している。これを受けて同連合会は2002年度、業界を挙げての杜氏・蔵人(くらびと)の養成機関として清酒学校を開設した。
生徒は3年間にわたり、アルコール度数の測り方や麹(こうじ)・酒母・もろみ製造、酒税法などについて学び、実習も行う。上質で「濃醇(のうじゅん)」な味わいの「石川の酒」を受け継ぐため、郷土の杜氏たちがこだわってきた酒造好適米の使用比率や精米具合についての知識も身につける。講師は卒業生ら各社の社員、県立大学教授、金沢国税局鑑定官らが務める。
卒業試験に合格した生徒には、「石川県酒造士」の認定証書が贈られる。杜氏になるまでには最低20年の修業が必要とされており、同校を修了しただけではその職に就くことはできないが、卒業生40人の中からこれまでに杜氏が数人誕生し、そのほかの卒業生も各酒蔵で日本酒のレベルアップに貢献しているという。
今年度は、昨年度に初級コースを終えた白山市と能登町、鶴来町の酒造会社の社員と経営者の妻、同連合会の職員合わせて6人が中級コースを受講している。2日目の8日は県青少年総合研修センター(金沢市常盤町)で原料処理や数学・物理・化学、酒母製造の授業が行われ、6人は真剣な表情でテキストに向かっていた。