東日本大震災で列車用部品メーカーの工場が被災したため、2日から日中に運転する普通列車の4割を運休していたJR北陸線(金沢-直江津間)と七尾線が8日、通常ダイヤに戻った。
運休していたのは9時~17時の普通列車で、北陸線の金沢-富山間では上り・下りを合わせ31本中12本、富山-糸魚川間で24本中10本、糸魚川-直江津間では12本中4本に上っていた。七尾線は17本中7本が対象で、9時台と11時台に七尾を発車し、金沢に向かう上り列車と9時台に金沢から七尾に向かう下り列車がなくなっていた。
工場の被災により枯渇が懸念されていた部品は、車両モーターに電気を送るための「直流電動機ブラシ」。摩耗するため1個あたり約300日しかもたず、現在の在庫は6月下旬に底を突くとみられていたが、使用状況によっては使用限度日数を50~60日延長でき、在庫分で秋口までしのげることが分かったうえ、メーカーから4日夜、「他工場で最終工程を行うことにしたため、納入できるめどがついた」と連絡があったことから、運行本数を元に戻した。
JR西日本金沢支社によると、2日~7日の運休による影響人員は約2万1,000人という。
JR金沢駅には8日、「お詫びとお礼」と題して、通常ダイヤでの運転再開を知らせる張り紙が掲示され、乗降客が見入っていた。早朝に七尾市内で展覧会を見た後、前日まで運休していた9時32分七尾発の七尾線普通列車で金沢駅に戻ったという金沢市在住の主婦(76)は「運休期間中は自分の時間に合わせて計画を立てることができず不便だった」とダイヤの正常化を喜んだ。
同支社担当者は「まだまだ運休を続けなくてはならないと思っていたが、新学期が始まるころに正常運転に戻すことができ、ほっとしている」と話す。