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現代性を取り込んだ伝統工芸「友禅」の企画展―石川県立伝統産業工芸館で開催

企画展「友禅空間―時を染める」で「天女の羽衣」に描かれた加賀友禅

企画展「友禅空間―時を染める」で「天女の羽衣」に描かれた加賀友禅

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 石川県立伝統産業工芸館(金沢市兼六町、TEL 076-262-2020)で現在、企画展「友禅空間―時を染める」が開催されている。

企画展「友禅空間―時を染める」で「天女の羽衣」に描かれた加賀友禅

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 同展では、伝統工芸が苦戦を強いられている原因の一つとして「現代性の取り込み方」を挙げ、「今」の工芸が「明日」の伝統となるための「普遍性の獲得」を企画の趣旨とし、「五感に訴える美しさ」「自分で使うことができるという喜び」を与えてくれる工芸品について、来場者が再認識できる展示内容とした。 

 会場には、時代の最先端を行く布地「天女の羽衣」に友禅作家の久恒俊治さんが伝統的な加賀友禅の技法で描いた作品を展示。友禅羽衣の舞台衣装、同オブジェ、同ショール、金箔(きんぱく)友禅パネル、木製友禅風炉先屏風など約24点が並ぶ。

 「天女の羽衣」は、天池合繊(七尾市)が開発した世界一軽く薄いファッション織物。使用する糸の太さはシルクオーガンジーの3分の1、シルクを超えた世界で唯一の超極細スーパーファインポリエステル糸で、糸を織り染め上げる技術のほか、縫製するためのミシン糸も同社が開発した。45×175センチのスカーフでも重さはわずか7グラムと超軽量な同製品はヨーロッパでも注目され、パリコレやオペラ座のプリマドンナやバレリーナの衣装としても採用されている。

 久恒さんは、1973(昭和48)年に加賀友禅作家の鶴見保次工房に入門後、1987(昭和62)年に独立、「加賀友禅工房久恒」を開設した。皇太子妃雅子様の御婚礼用桐だんすの油単と袱紗(ふくさ)に加賀友禅を染め、「2007年インドにおける日本年」では「加賀友禅サリー」を発表するなど幅広い活動を続けている。

 久恒さんは「長年『癒やしの和空間作り』の実現を目指して活動しているが、今回は世界で一番軽く薄いハイテクな布と、手描きの加賀友禅染め糸目のり置きの技法のローテクが融合した石川県ならではの作品を楽しんでほしい」と来場を呼びかける。

 開館時間は9時~17時。12月15日まで。

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