「金沢湯涌江戸村」今月25日オープンへ-藩政期の町家など8棟公開

重要文化財に指定される切妻屋根の「旧鯖波本陣石倉家住宅」

重要文化財に指定される切妻屋根の「旧鯖波本陣石倉家住宅」

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 江戸時代の農家や武家住宅、町家の移転整備が進む「金沢湯涌江戸村」が9月25日、金沢市湯涌地区にオープンする。日本の伝統家屋の魅力を発信し、金沢の奥座敷・湯涌温泉の新たな観光名所となる同施設の誕生に、地元では「集客の起爆剤になってほしい」と期待を寄せている。

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 金沢湯涌江戸村は、同市山間部の芝原中・湯涌小に程近い湯涌温泉街の一角にある。広さは約2ヘクタールで、「武家・町家」と「農家」の2つのゾーンに分かれる。武家・町家ゾーンには、重要文化財で金沢近郊の鶴来街道沿いの商家だった「旧松下家住宅」や、逓信大臣を務めるなど大正から昭和にかけて政界で活躍した永井柳太郎の生家「旧永井家住宅」など4棟を移築した。農家ゾーンにはかやぶき民家3棟がある。出入り口として、現在の兼六元町にあった加賀藩上級武士の「旧多賀家表門」を復元した。

 「旧松下家住宅」は素朴な小型町家の建築様式を残す数少ない建物として高く評価されるほか、「旧鯖波本陣石倉家住宅」(重要文化財)は、福井県南条町(現・南越前町)鯖波の宿場本陣として使われ、明治天皇が北陸を巡幸した際に休憩した座敷も再現されている。

 農家や武家住宅、町家は一般公開されるほか、「旧多賀家表門」を除く7棟は、展示会などの文化活動の場としても貸し出す。かやぶき体験や文化財セミナーをはじめ、茶会、コンサートなどのイベントも開催する予定。

 開園式は9月25日10時から行われ、記念イベントとして大河直躬千葉大学名誉教授が「江戸村の歴史的建物の特色と加賀能登の風土」と題して記念講演を行うほか、加賀鳶や加賀万歳、金沢百萬石太鼓、湯涌音頭などの伝統芸能が披露される。18時から21時30分まで、建物の夜間ライトアップも行う。

 民間運営の旧江戸村と旧檀風苑(だんふうえん)を1998年に市が取得し、温泉街の山あいにあった建物を現在地に移築、2006年から暫定開園して農家ゾーンを先行公開していた金沢湯涌江戸村。今後、旧江戸村、旧檀風苑に残る5棟も順次移築し、2016年度までに施設全体の完成を目指す。

 開園時間は9時~17時30分。入園料は、一般=300円、65歳以上=200円、高校生以下無料。火曜休園(祝日の場合は翌日休園)。

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