カンヌ国際映画祭グランプリ「殯の森」河瀬直美監督が来沢

トークショーに登場した河瀬監督(左)とシネモンド代表の土肥悦子さん

トークショーに登場した河瀬監督(左)とシネモンド代表の土肥悦子さん

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 第60回カンヌ国際映画祭コンペティション部門でグランプリを受賞した「殯(もがり)の森」の上映が10月13日よりシネモンド(金沢市香林坊2 KOHRINBO109 4階、TEL 076-220-5007)で始まり、河瀬直美監督が同日、トークショーを行った。

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 同作品は、奈良県の山間地を舞台に、グループホームで亡き妻の思い出とともに過ごす認知症の男性と幼いわが子を亡くした介護福祉士の女性が、互いの関係性を変化させながら心を通わせていく姿を描いた河瀬監督の最新作。タイトルの「殯」は古代日本の葬祭儀礼で、死者を本葬するまでの期間、遺体を仮に安置することやその場所を表す。

 トークショーでは、河瀬監督が撮影秘話や同作に込めた思い、編集と音の構成を担当したフランス人スタッフの仕事ぶりについて語った。作品はフィクションではあるものの、ロケ地の住民である人々の死生観が語られるシーンやクライマックスの場面などでは、シナリオにない言葉や感情が生まれ、それが作品の核になったという。「殯」という言葉には映画の構想段階で出合った。「殯という、亡くなった人のことを思う時間は、今を豊かにあるように導いてくれるもの。現代社会に生きる人は、もっとそのような時間を持ってもいいのでは」。

同作品のテーマについては、「社会生活をしていると、きれいなものや立派なことを言える人に引かれていくが、それぞれに生きている人やそこにあるものたちは、それぞれの輝きを放っている。自分の立ち位置や見方を変えると、認知症の人に対する態度も変わってきたり、人と人との関係ももっと近づいたり、深くなってくるのではないかと考えた。見た人が、主人公の老人に最後には寄り添うような気持ちを感じてくれれば、この映画は成功だと思う」と話す。

 同館での同作品の上映は10月26日まで。19日までは河瀬監督の初期作である短編ドキュメンタリー「につつまれて」「かたつもり」の2本立てと「萌の朱雀」の上映を日替わりで行う。

シネモンド「殯の森」公式ホームページ 

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