金沢美術工芸大学と金沢市立病院の共同企画「ホスピタリティアート・プロジェクト」が8月26日・27日、同院(金沢市平和町3)で行われ、学生と患者がカラーセロハンを使って、待合ホールのガラス窓にステンドグラス風の装飾を施した。
同プロジェクトは、入院患者にとっての生活空間でありながらも無味乾燥な病院に、アートで癒やしと楽しみを生み出そうとする試み。同院の高田重男院長が発案し、昨年同大に協力を依頼し、スタートした。これまでに、院内で作陶ワークショップや視覚デザイン展を開催している。
6回目となる今回は、油画専攻の青柳りさ教授と三浦賢治准教授、学生有志13人が実働部隊となり、「夢の水族館」をテーマにカラーセロハン製のステンドグラスを作った。高さ約4メートル、幅約10メートルの大きさで、水族館の水槽の中で、ジンベエザメやイルカ、エイ、マンタ、ウミガメなどが気持ちよさそうに泳いでいる場面を色鮮やかに表現している。
病院の呼び掛けに応じて、待合ホールに足を運んだ入院・通院患者と家族らも、学生たちがあらかじめ用意した型紙を使って、セロハンを魚や貝の形に切り抜く作業を手伝った。日ごろ、病室で時間を持てあましているという女性入院患者は「若い子と話ができるので楽しい。早くリハビリをして体を治し社会復帰したい」などと、学生たちを相手に談笑しながら、はさみを動かしていた。ほかの患者からも、「ステンドグラスは涼しげで見ているだけで気持ちがいい。病院の居心地が良くなった」などと喜ぶ声が聞かれた。
3~4週間ほど装飾を続ける予定。同院では、「近隣住民の皆さんにも気軽に足を運び、見てもらいたい」としている。