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金沢市出身の大能寛飛さんがパリ五輪ブレイキン出場 「石川を元気づけたい」

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 7月26日に開幕するパリ五輪の新競技「ブレイキン」の男子日本代表として、金沢市出身の大能寛飛(ひろと)さん(ダンサー名「HIRO10」)が出場する。

パリ行きのチケットを手に笑顔を見せる大能寛飛さん

 大能さんは、妹の通うダンス教室を見学に行ったことがきっかけで、9歳でブレイキンを始めた。小将町中学校3年生だった2019年、中国で開かれた国際大会で初優勝を飾り、この頃からパリ五輪出場を夢見てきた。高校卒業後は単身ヨーロッパに渡って技術を磨き、数々の国際大会を制して、国内トップクラスの選手に成長した。

 大能さんは日本時間の6月23日、ハンガリーで行われたパリ五輪の最終予選に出場し、ベスト8に進出。惜しくも準々決勝で敗れたものの、代表を争っていた菱川一心選手が準決勝で敗れたことで合計ポイントが上回り、五輪出場が決まった。

 現地で応援していた大能さんの家族は、準々決勝での敗退で五輪出場はなくなったと思い、母と妹は泣きながらホテルに戻ったという。会場に残った父の善行さんは「お前を誇りに思う」と声をかけたが、大能さんはまだ諦めていなかった。その後、ライバルの敗退により、一転、五輪出場が決定。善行さんは「おめでとう。よく頑張ったな。やっと報われたな」と、歓喜の涙を流す大能さんと抱き合った。

(左から)五輪出場を喜び合う父の善行さんと大能寛飛さん

 金沢市尾張町で美容室を営む善行さんは、店の営業が終わると、椅子などを片付けて練習スペースにし、息子の成長を一番近くで見守り支えてきた。善行さんは「ダンスのために、楽しい学校行事にも出られず、我慢したと思う。海外での活動を見据えて、勉強も頑張っていた」と振り返る。単身ヨーロッパに渡ってからも、努力を重ね、プレッシャーがかかる中でも、友達がたくさんできて楽しんでいたという。「オリンピック出場が決まり、たくさんの方からお祝いのメッセージをもらい感謝している。本人はもちろん金メダルを目指していると思うが、親としては、結果を気にせず、大舞台で自分らしさを表現し、心から楽しんでほしい」とエールを送る。

大能さんに応援メッセージを送った長町中学校の生徒

 大能さんの五輪出場を、地元も応援している。母校の北陸学院高校では垂れ幕を設置して祝福。長町中学校(旧小将町中学校)では、金色の文字で「Do your best」と書かれた国旗に、生徒らが「先輩がいて誇らしいです」「ベストを尽くしてください」などと応援メッセージを寄せ書きして、大能さんの家族に手渡した。

 1月の能登半島地震で穴水町の祖母が被災した大能さんは「楽しんで全力で踊るので応援してほしい。今年は震災もあったので、ダンスで少しでも石川を元気づけたい」と意気込む。

 パリ五輪ブレイキン日本代表は男女4人が出場し、大能さんが出場する男子は現地時間の8月10日に行われる。

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