金沢の「ギャラリー点」(金沢市入江、TEL 076-292-2140)で現在、企画展「adagio-心地よい出会い」が開催されている。
同展は、鑑賞者の感じ方を主体に「作品との心地よい出会いを楽しんでもらいたい」と同ギャラリーの金田みやびさんが企画した。「adagio(アダージオ)」はイタリア語で「ゆるやかに、ゆっくりと」を意味する。金沢にゆかりのあるアーティスト5人が制作した約30点を展示、金沢美術工芸大学准教授の山崎剛さんが解説文を担当した。
それぞれの作家が、「異なる素材に真摯(しんし)に向き合い異なる方法で『心地よさ』を追求し制作した作品」が並ぶ。
金沢美術工芸大学で鋳金を専攻したガラス造形家の扇田克也さんの代表作「HOUSE」は、光を取り込み、心地よい感覚で穏やかさを生み出す。金属造形家の畠山耕治さんは「作家と素材の意識」で作品を彩る。愛媛大学で陶磁を専攻後、現在も金沢で学び続ける陶造形家の藤原絵里佳さんは「ぼうっと景色を見る感じに映ってほしい」との思いで制作。焼き締めた陶の肌は炭化焼成により墨色となり存在感を増す。金沢美大教授でニューヨークでも個展を開く漆芸作家の山村慎哉さんは、洗練された漆の世界を表現する。書家の金田和子さんは、墨をしみ込ませた厚みのある平面作品で独特の風景を生み出している。
金田さんは「美術品に関しては、まだまだ受け身の人が多いように思う。もっと勝手な鑑賞の仕方があってもいい。鑑賞者が作品との出会いにより心を動かされることが、作家にとって何よりもうれしいはず」と来場を呼びかける。
開催時間は12時~18時。木曜休館。2月28日まで。