輪島商工会議所は10月29日・30日、「にぎりずし体験」を目玉にした観光の新たな魅力づくりに向けたモニターツアーを開催し、県内や名古屋市の出版業や旅行業者が参加した。
輪島市の観光資源は、朝市や輪島塗、白米の千枚田などで、通過型観光がメーン。それも、能登半島地震や景気低迷などで入込み客数の減少が問題となっており、同会議所を中心に新たな魅力の創出と宿泊型観光への転換を模索してきた。
同体験会を企画したのは、同市が県内有数の底引き網漁の基地で、新鮮な近海の幸が豊富に水揚げされることから、北海道小樽市や静岡県沼津市に倣い、すしによるまちおこしの可能性を探るもの。今回は5人が参加した。
同市ふれあい健康センターで開かれた29日のにぎりずし体験では、参加者が輪島鮨組合・宮腰昇一組合長らすし店主5人の指導を受けながら、アジやイカなどのさばき方から、にぎり方までを習った。続く懇親会では、モニターから「『このネタは輪島が一番おいしい』といったイメージ戦略を大切に」「輪島に来てよかったと思える接客サービスも根付かせてほしい」などの意見が出された。
2日目は同市内を観光し、一行は朝市を歩いた後、輪島工房長屋で箸の沈金体験に挑み、白米の千枚田や塩安漆器工房、稲忠漆芸会館、キリコ会館も見学した。
同会議所では、モニターの意見を基に、今後、にぎりずし体験をツアー商品として実現できないかを検討することにしている。稲木強経営支援課長は「にぎりずし体験を集客の起爆剤とし、輪島観光の活性化につなげていきたい」と意気込み、11月中旬には同市内の各すし店で、上にぎりずしに地酒や料理など「もう一品」を加える「輪島すしセット」を売り出す予定だという。