金沢21世紀美術館「シアター21」(金沢市広坂1)で9月19日に行われるサイレント映画「メトロポリス」伴奏付き上映会の作曲・演奏を手がけるメンバー3人が同13日に金沢入りし、本番に向けて創作活動を行っている。
同上映会は9月19日~23日に金沢市内で開催される「カナザワ映画祭2009 新世界秩序サバイバルガイド」のオープニングを飾る企画。京都を拠点に活動する音楽ユニット「mama! milk」の生駒祐子さんと清水恒輔さん、舞台・映画・CFで活躍する阿部海太郎さんが今回のために新たに曲を書き下ろし、モノクロの16ミリフィルムに合わせて生演奏を行う。アコーディオン、手回しオルゴール、コントラバス、ピアノ、バイオリンのほか、ピアノの弦に細工をしたプリペアド・ピアノや自作の手製楽器などを使い独自の音世界を繰り広げる。
「メトロポリス」はフリッツ・ラング監督により1926年にドイツで製作され、1927年に初公開された無声映画。後のSF映画に大きな影響を与え、SF映画の金字塔とされる同作は、摩天楼がそびえる2026年の未来都市を舞台に特権階級と奴隷的な労働者階級とに分かれた階級社会を描く。オリジナル作品は約3時間半の長編でオーケストラの伴奏付きで上映された。その後、米国に持ち込まれて編集されるなど、さまざまなバージョンが存在するが、今回は英語字幕の93分作品を使う。日本語字幕をのせ、金沢で録音したドイツ語のナレーションを付けて活弁の雰囲気を演出する。
生駒さん、清水さん、阿部さんの3人は滞在する広誓寺(昌永町)で作曲、リハーサルを行い本番に臨む予定で、「事前に映像を見てそれぞれが抱いたテーマをもとに試行錯誤しながら実際に音を出していくと表情が変わっていく。3人で持ち寄ったものを93分の中で一つの物語として完結させたい」と楽器を手に曲作りに取り組んでいる。
企画を担当する「かなざわ映画の会」の佐伯昌紀さんは「16ミリフィルムのざわついた感じやドイツ語のナレーションで公開当時の雰囲気を再現するとともに、3人が書き下ろし、奏でる音楽で2009版の『メトロポリス』を見せたい」と話す。
開演は11時と16時30分。前売り=3,000円、当日=3,500円。各回120人限定。