石川県津幡町の「JAグリーンかほく」で3月28日・29日、同店の誕生2周年祭の会場に、同管内の大豆を原料とした「おからドーナツ」を販売する移動販売車が登場した。
おからドーナツを作っているのは、石川県志賀町富来町で豆腐店を営む高橋外世美さん。この日はおからドーナツのほか、河北産の大豆を使った豆腐、豆乳ジェラートを販売。おからを含めて大豆を無駄なくまるごと使い切ったメニューを紹介することで、ごみ減量化と地元産大豆の消費拡大の啓発に一役買った。
「2年前、豆乳ドーナツを売り出した京都の豆腐店に行列ができていると聞いたことがきっかけ。それならうちのおからを使ってドーナツを作ってみようということになった」と話す高橋さん。ドーナツを地元のスーパーに置いてもらったところ、モチモチしておいしいと評判に。1個60円という価格も主婦層に受け、リピーターが増えた。家業の豆腐作りの延長で考えていたドーナツ作りだったが、昨年12月には調理設備を取り付けた車両を購入し、移動販売を開始。売り上げも販売先も広がった。
現在は地元のスーパーの駐車場に出店するほか、週末は県内各地のイベントに参加している。「この車が目立つのか、子どもたちにも人気。いろいろな方にイベントに出店しないかと声を掛けてもらえるようになった」と笑顔の高橋さん。暖かい季節に向けて、ドーナツとジェラートを組み合わせた新商品も企画しているという。
豆腐やみそ、しょうゆなどに加工され、古くから日本人の食生活を支えてきた大豆は、低カロリーでありながら、タンパク質や食物繊維を多く含む理想的な食材。豆腐を作る際に搾りかすとして出るおからのほとんどは産業廃棄物として焼却処分されているというが、その栄養価は高い。高橋さんは、おいしい、安い、栄養がある、そしてエコと四拍子そろったおからドーナツを今日も各地に届けている。
4月18日・19日は、金沢市の産業展示館で行われる移動販売車の展示イベントに参加する予定。