金沢卯辰山工芸工房(金沢市卯辰町、TEL 076-251-7286)は3月10日~15日、金沢21世紀美術館(広坂1)で研修者作品展「30人の技と感性」を開催した。
同展では、同工房で陶芸・漆芸・染・金工・ガラスの技を磨く研修生30人の意欲作約80点を展示。伝統的な手法を生かしたものから素材の可能性を探る作品が並び、来場者は個性が光る作品に見入っていた。
金工を専攻する研修3年目の今城昌子さんの作品「蛙器」は、カエルをモチーフにしたユニークでインパクトある作品で、愛らしさがにじみ出る。陶芸専攻の研修1年目の木村夏海さんの作品「うまれるかたち」は、すべて白色で作られた複数の小さなオブジェが集合体となることで存在感をアピール、吟味された各々の造形がメッセージを発するような印象的な作品として、来場者の注目を集めた。
同工房は1989年11月、金沢市制100周年の記念事業として金沢の伝統工芸の継承と発展と文化振興を図るための総合施設として設立され、創造的なもの作りを通して時代の変化に対応できる工芸家の育成を担ってきた。現在は、全国から集まった研修生が陶芸・漆芸・染・金工・ガラスの5つの工房で、それぞれの制作活動に励んでいる。研修生には美大や大学を卒業した後さらに技術を磨こうと同工房に入る例も多く、2~3年の研修後は個人で作家活動を行うほか、技術を生かした職業に就くケースが多いという。
また、同工房は美術展示棟と研修棟を備え、観光客にも伝統工芸の研修内容を公開するほか、一般市民を対象にした市民工房教室を開催するなど、金沢が育んだ伝統工芸を紹介する活動も行っている。
工房の開館時間は9~17時。入館料は、一般=300円、65歳以上=200円、高校生以下=無料。火曜休館。