昨年の能登半島地震や奥能登豪雨で被災した人の着物の帯を集めて制作されたオブジェ「鳳龍(ほうりゅう)」の展示が12月25日、金沢駅観光案内所で始まった。
被災者からNPO「日本きもの文化振興会」(金沢市問屋町2)に寄贈された着物や帯計約5500点のうち、オブジェには帯50本を使用。不死鳥と呼ばれる鳳凰(ほうおう)の翼と竜の蛇腹をイメージし、高さ3メートル、幅1.8メートルある。内部は綿と共に、輪島市の倒壊家屋の土や木材を入れ、復興への祈りを込めた。
大阪市の芸術家・表博耀さんが復興支援のためにデザインし、裁断した帯を香川県の装飾刺しゅうの伝統工芸士・石川稔さんが縫製して制作した。
5月には大阪・関西万博の会場内のEXPOホール「シャインハット」前で披露し、9月からは能登空港で3週間展示した。会場に設置したアンケート箱には、励ましの言葉や復興への思いが書かれたメッセージが多数寄せられたという。
同会の篠原勉理事長は「被災して着物の管理ができず、手放した人も多い。新たな形となり、喜んでもらえたらうれしい。金沢駅が最もにぎわう時期の展示なので、市民も含め多くの人に見てもらいたい。能登半島地震から間もなく2年たつが、風化させてはいけない。これからも能登を応援し続けていきたい」と話す。
営業時間は8時30分~20時。観覧無料。1月11日まで。