ギャラリーショップ&カフェ「コニーズアイ」(金沢市武蔵町4、TEL076-204-8431)で現在、「柳宗理の出西窯・無自性の理念」が開催されている。同展は、プロダクトデザイナーとして知られる柳さんが、島根県で地元の有志とともに築いた「出西窯(しゅっさいがま)」から生まれた陶芸の世界を紹介するもの。
1962(昭和37)年、柳さんは前年に亡くなった父の骨つぼを製作するため、初めて出雲の国(島根県)の斐伊川(ひいかわ)下流畔にある出西窯を訪れ、以来、縁焼締角皿や丸皿などを手がけるようになった。当時の窯のメンバーが退き、現在では若い世代が中心となったことから、さらなる窯の発展を願い柳さんの指導を得た「柳宗理ディレクション出西窯シリーズ」が生まれた。同展では「無自性の理念」をもとに、シンプルで丈夫、かつ日々の生活で使える器をテーマにした現在作られている11種類の作品を展示・販売する。
出西窯は1947年、陶芸にはまったく無縁の農家の二男・三男だった若者5人の手により開かれた。日本民芸運動を起こした柳さんの父・宗悦(そうえつ)さんの著書「私の念願」を通して民芸運動に共鳴し、日常の食器類を作り始めた。さまざまな陶芸家の教えの下、やがて民芸の窯として知られるようになる。一貫して共同体の形態を取り、作品は無銘。郷土の土を使い、手仕事による実用陶器を作り続けてきた。「世の中は、何もかも『おかげさま』によるもので、自分の手柄などどこにもない」という「無自性の理念」の下、喜び・哀しみ・すべてを共有する。現在、その精神を貫く同志数十人が共同作業による器作りを受け継いでいる。
展示作品は、黒釉と白釉のシンプルで丈夫なデザインが特徴で、丸皿(小・中・大1,890~5,670円)、角皿(2,100円)、飯椀(2,100円)、盃(1,050円)、徳利(3,465円)など。シンプルで実用的なデザインは、年齢や流行に左右されず長く使い続けることができる。同ギャラリーオーナーの小西師博さんは「多くの人の支持を得て人気が高い柳宗理さんの作品の中で、日常使いできる出西窯にスポットを当てた食器などをラインアップした。多くの人に魅力を感じてほしい」と話す。
営業時間は11時~18時。月曜・火曜定休。今月25日まで。