国立工芸館(金沢市出羽町)で12月9日、企画展「ひと、能登、アート。」が始まった。
令和6年能登半島地震・令和6年奥能登豪雨復興支援事業として、文化の力で能登を応援しようと、都内の美術館・博物館が所蔵する美術作品を金沢の文化施設3館に集めた。同館には11機関から、国宝、重要文化財を含む28点が並んだ。
会場に入って最初の展示は、青森県つがる市で出土した縄文時代晩期の「遮光器土偶」(重要文化財)。中空に成形した大型土偶で、大きな目の表現がゴーグルのように見えることから命名された。隣には、富山県氷見市で出土した縄文時代中期の「深鉢形土器」が続く。東京国立博物館海外展室長・品川欣也さんによると、同土器は1951(昭和26)年に開催された「日本古代文化特別展覧会」で芸術家・岡本太郎が見て感動し、後の活動に大きな影響を与えるきっかけになったという。
平安時代の「秋草文壺(あきくさもんつぼ)」(国宝)と、ほぼ同時代の珠洲焼「巴文大壺(ともえもんおおつぼ)」(重要文化財)は並べて展示。品川さんは「古代のものが工芸に分類されるかは見方によって異なるが、作家の名前が残らないものであっても人の手でつくられたものとして価値を感じるはず」と話す。
そのほか明治期の九谷焼や、金沢にゆかりがある陶芸家・板谷波山の作品などを並べる。
会期中、ミュージアムショップでは遮光器土偶のマスコット(1,210円)のほか、CACL(能美市)が割れた陶器の破片を金継ぎでつないで作った陶片皿(3万800円~)などを販売する。
開館時間は9時30分~17時30分。月曜・年末年始は休館。観覧料は、一般=1,200円、大学生=700円、高校生=500円。同時開催の「工芸と天気展-石川県ゆかりの作家を中心に-」観覧券で鑑賞可。3月1日まで。