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金沢で建築家・藤本壮介さんが講演 建築の面白さを若者に伝える

設計した建築作品を解説する藤本壮介さん

設計した建築作品を解説する藤本壮介さん

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 建築家・藤本壮介さんが11月4日、金沢市文化ホール(金沢市高岡町)で行われた金沢市主催の金沢・建築文化会議「建築とまちづくりを考える」で講演を行った。

藤本壮介さんが金沢で講演

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 藤本さんは大阪・関西万博の大屋根リングのほか国内外の建築を設計し、国際的な賞を数多く受賞している。当日は、設計した建築の写真を使った解説を中心に講演した。会場は定員の750人が席を埋めた。

 設計したフランス・モンペリエの集合住宅は、気候が良い地域特性を生かして大きなバルコニーを各戸に設置し、「松ぼっくり」とも評される特徴的な建築にした。最先端の建築技術によって屋外のテラスで食事をするという昔ながらのライフスタイルを再現したという。

 ハンガリー・ブダペストの森の中に造った音楽ホールは、建築の中からも森を感じるようにガラスの壁で覆うことによって、森の中で音楽を聴くという体験を実現した。

 福岡・太宰府天満宮本殿の改修工事では、3年間限定の仮設拝殿を設計した。樹木を屋根の上に植栽することで、自然素材でできている伝統建築と周囲の森と呼応させたという。藤本さんは「近代建築技術で森を持ち上げた。解体後は植栽したクスノキを境内に移植するので1000年後も残るはず」と話す。

 岐阜・飛騨古川駅前で建設が始まった複合施設は、飛騨の盆地で感じる「森に囲まれたすり鉢状の土地」を大がかりな木造建築で再現しようという計画。大学、ホテル、商業施設などの施設を大きなすり鉢状の大屋根でまとめ、所々に開けた穴から多様な活動を見せることでにぎわいを感じるようにするという。

 大阪・関西万博では会場デザインプロデューサーとして会場全体の計画を担当。藤本さんは「世界中の多様な人や文化をつなげるというメッセージを伝えるのが建築家として関わる意義だと考えた」と振り返る。ギネスブックで世界最大の木造建築と認定された大屋根リングについて、「多様なものを受け入れ共存させながら美しくつなぐことができた。近年の技術的進化によって木材というサステナブルな材料で造ることができた。日本の木造建築の伝統と技術をアピールできたのでは」と話す。

 谷口吉郎・吉生記念金沢建築館の三宅理一館長との対談の中では、北海道の自然豊かな環境で生まれ育った経験が自身の感覚の中に根付いていると話した。

 最後に、建築を学ぶ学生に向けて「建築設計は初めての土地や文化、クライアントの個性や要求など、未知のものと出合う面白さがある。未知のものを考え出す機会があるのは楽しい。若い人は臆さずどんどん海外に出て活躍してほしい」と呼びかけた。

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