
「第5回 加賀ゆびぬき公募展『絹糸かがやく収穫祭』」が9月2日、金沢21世紀美術館(金沢市広坂1)で始まった。主催は「加賀ゆびぬきの会」。
「ゆびぬき」は裁縫道具の一種で、針が指に当たる部分を保護するために指輪状の形をしている。
「加賀ゆびぬき」は江戸時代から金沢の家庭で裁縫道具として作られていた物で、指の太さに合わせた芯に色とりどりの絹糸を使って模様を作り出すのが特徴。本来は道具として使われていたが、近年では観賞目的や、身に着けるアクセサリーとしても使われる。さまざまな色や模様で自由にデザインできることから、趣味の手芸として広まり、全国に愛好家がいる。
「加賀ゆびぬきの会」主宰者の大西由紀子さんが「加賀ゆびぬき」を習ったのは、実家の「毬屋(まりや)」(金沢市南町)で金沢の伝統工芸「加賀てまり」を製作・販売する母親と祖母。「実家を離れ北海道で暮らしていた頃に、金沢を身近に感じたくて、帰省のたびに教わった」という。
大西さんが東京で行った作品展で大きな反響があり、テレビ番組で講師をしたり、本を出版したりするようになって愛好家が増えた。全国に増えていった「加賀ゆびぬき教室」は、あくまで愛好家の自由な活動として特に管理していないという。
コロナ禍や能登半島地震などによる中断があり、今回の開催は8年ぶりとなる。全国から330人の参加者があり、5250個の加賀ゆびぬきが集まった。中には91歳の参加者や、米国からの参加者があるという。
会場には額装して壁に掛けた物や、テーブルに並べた立体のディスプレーなど、さまざまな方法で作品を展示する。中には能登の作家が地元の素材を使って染めた糸で七十二候(四季をさらに18ずつに分けた暦)すべてを表現した壁掛け作品も展示する。
大西さんは「全国に広まった加賀ゆびぬきが、ふるさとの金沢に帰ってきてくれる機会がつくれてうれしい。さまざまな作品があるので見に来てほしい」と話す。
開館時間10時~18時(最終日は16時まで)。入場無料。9月7日まで。