
北陸製菓(金沢市押野2)が8月4日、揚げあられ「ビーバー」シリーズとしてタイの昆布締め風味の期間限定商品「55周年おめでタイ!ビーバー」を発売した。
同商品が今年で発売55周年を迎えることから、キャラクターにしているビーバーの誕生日の8月18日に合わせて、北陸の郷土料理でハレの日に食べられる「タイの昆布締め」をイメージした商品を開発。北陸産のもち米に昆布を練り込み、マダイエキスパウダーを使って味を表現した。
1970(昭和45)年に「福富屋製菓」が開発・発売した同商品は、当時開催中だった大阪万博のカナダ館に展示されていたビーバーの歯が、揚げあられを2本並べた形と似ていたことから命名。1996(平成8)年に製菓部門が独立し、「福屋製菓」として販売していたが、2013(平成25)年に倒産。ファンからは復活を望む声も多く、北陸製菓が事業承継して販売を始めた。
北陸製菓の高崎憲親社長(「高」ははしごだか、「崎」はたつさき)は「地元で愛されるお菓子としてビーバーを残したいという思いが強かった。福屋製菓のスタッフを受け入れ、製法やパッケージなどを引き継ぐことで伝統をつなげようと思った」と振り返る。
事業承継後は同名のキャラクターに焦点を当て、デザインのブラッシュアップ、SNSの発信、アパレルとのコラボなどで知名度向上を図った。2019年にNBAの八村塁選手がチームメートに「白えびビーバー」を紹介したことから全国的にも注目を集め、一時は製造が追い付かないほどの反響があった。事業承継から11年目を迎える現在では、高崎社長が就任した2018(平成30)年と比べて商品の売り上げは約15倍に増え、会社は7年連続の増収増益となっている。
同商品について、高崎社長は「八村選手の影響力がきっかけとなったが、一時的な人気にとどまらず売れ続けているのは社員の努力のおかげ」と話し、今後の展開について、「多くの人にビーバーのおいしさや笑顔を届けるために今何をするべきか、固定観念にとらわれず新たな取り組みやチャレンジを続けていきたい」と意気込む。
価格は238円。北陸製菓の直営店や全国の小売店などで扱う。