「九谷焼」のUSBメモリー人気に-老舗窯元と地元電子機器メーカー協業

九谷焼で装飾したUSBメモリー「いしかわメモリー」

九谷焼で装飾したUSBメモリー「いしかわメモリー」

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 石川県の伝統工芸で知られる九谷焼の窯元「青郊」(能美市佐野町、TEL0761-57-2078)と、電子機器設計製造の朝日電機機械製作所(白山市旭丘、TEL076-274-2525)が、九谷焼五彩で装飾したUSBメモリー「いしかわメモリー」を開発し10月から販売、「持ち歩く九谷焼」「大切な思い出をしまう陶箱」をテーマに、伝統工芸の技と現代機器を融合させたユニークなアイデアが人気を集めている。

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 伝統工芸の新たな可能性を探る主旨で開催された北陸先端科学技術大学院大学の講座「伝統工芸イノベーター要請ユニット事業」を通して知り合った「青郊」の北野啓太さんと、「朝日電機製作所」の砂崎友宏さんが「ジャパン・クタニ」の魅力を全国に発信しようと企画した。試作品を東京でテスト販売したところ展示品は完売し、引き合いが相次いだため本格的な販売を決めた。現在は東京などの大都市のみで販売しているが、今後は全国各地に販路拡大を考えている。

 縦2センチ×横6センチの直方体のUSBメモリーは、桜やヤマガラなどの鳥を九谷五彩で描いた鮮やかな5種類をラインアップ。九谷焼の柄により「紺地桜」「吉田屋風葵」「金襴手鳳凰紋」「山雀」「青地唐草」があり、その芸術性からギフト需要も。1G・2 G・4 G・8GBに対応し、追加料金で名前や会社名を入れることもできる。価格は1万円から。

 昭和10年開窯の「青郊」は、歴史画風を生かした伝統的な九谷焼の創作を主旨としてきた。特に盛絵の具を用いた表現を得意とし、独特の深みと透明感を活かした日常食器を中心にしてきた。「九谷焼の最大の特徴は『色彩美』。食器やインテリア以外の分野に生かすことができたらと思い開発した」と語る北野さん。開発の経緯を「前例のない商品開発で、電化製品でありながら持ち歩くというアイテムのため、実用性を考えて何度も打ち合わせを重ねた。小さなサイズのボディーに九谷焼の加飾をどう施すかという点が苦労した。ポップな柄も考えたが、あくまでも九谷焼らしさを活かそうと伝統画風のデザインにまとめた」と話す。

 今後の展望については「絵柄の種類を増やし、さらに精度の高いデザインに挑戦し、USB以外のアイテムも開発したい。伝統工芸は多くの可能性があり衰退するには惜しい文化。後世に残すため、従来にない視点で生活に密接したアイテムを開発し、その技術を世界に発信して活路を見出したい。夢だった工業製品に九谷焼の技術を応用できたことに満足」と語る。

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