工芸、食、街並み、芸能を組み合わせて金沢の魅力を発信するイベント「かなざわ燈涼会(とうりょうえ)2014」の一環として8月9日夜、「月見コンサート」が開催された。主催は公益社団法人金沢青年会議所。
毎年、金沢らしい風情あふれるロケーションで開かれる同コンサート。今年は、浅野川に架かる梅ノ橋を舞台に行われる予定だったが、台風の影響により急きょ、近くの宇多須神社(金沢市東山)に場所を移して催された。金沢の伝統芸能である「能舞」「箏(そう)」と、革新的な「パフォーマンス」が披露され、市民や観光客らは美しい舞や音色を堪能した。
会場では、まず宝生流能楽師の藪俊彦さんらが、浅野川のそばで生まれ育った泉鏡花の母を思う気持ちを描いた新作「鏡花幻想」を上演し、幽玄な舞で観客を魅了した。続いて、箏奏者の北村雅恋さんが、久石譲さんの「Summer」のカバー、母であり大師範でもある北村雅楽弓さんとの共演など3曲を演奏し、美しい音色を響かせた。
華やかなベリーダンス、豪快な太鼓の演奏で盛り上がり、最後は、北陸のパフォーマンスチーム「皇神-SUMEGAMI-」のリーダー、tomoさんのファイアーパフォーマンス、シルク・ド・ソレイユのオフィシャルダンサーYUSURAさんの情緒豊かな舞による、伝統と革新を融合させた幻想的なステージが披露された。
上演後、tomoさんは「急きょ会場が変更になったが、由緒ある宇多須神社でパフォーマンスできて、とても楽しかった。新しいものと古いものそれぞれの良さ、そして金沢の良さをあらためて感じてもらえたらうれしい」と感想を語った。
「かなざわ燈涼会」は、作家とギャラリーがコラボレーションする工芸展「浅野川工芸回廊」、金沢の食文化と工芸を組み合わせた食談「趣膳食彩」などさまざまなイベントが4日間にわたって行われ、盛況のうちに幕を閉じた。