小松市産イ草の生産拡大を目指し、新商品の開発を進めている「小松イ草拡大プロジェクト」は9月29日、金沢市民芸術村里山の家(金沢市大和町)でイ草尽くしの茶会を開き、完成したスイーツや茶席に合うフラワーアートを紹介した。
小松イ草は、雪の下で育つため、表皮が厚く、硬くて丈夫なのが特長で、畳表の原料として利用されている。最盛期だった1955(昭和30年)には市内の農家1400戸が計約300ヘクタールで栽培していたが、生活様式の変化と、安価な中国産の輸入増加によって需要が減り、今では宮本隆史さんが経営する宮本農産が60アールで生産するだけになった。
このため、県中小企業団体中央会は昨年6月、畳店や家具職人、デザイナー、茶人、フラワーアーティスト、パティシエらを集めて同プロジェクトをスタート。既成概念にとらわれない新商品の開発に取り組んでいた。
この日の茶会はその発表の場で、メンバーの一人である堀田洋菓子店(金沢市扇町)の代表、堀田茂吉さんが作ったマカロンとロールケーキ、生チョコが振る舞われた。
マカロンは、イ草の粉末を練り込んだ生地で、イ草とホワイトチョコのガナッシュとバタークリームなどを挟んだ。ロールケーキと生チョコもほんのり若草色で、参加者は「抹茶みたいでおいしい」と堪能していた。
また、同じくメンバーのフラワーアーティスト、はさたに和美さん(かほく市)は茶席の間仕切りとして、乾燥させたイ草にツルウメモドキを合わせたフラワーアート作品を出品。床の間にも、青々とした苗と純白のユリの花一輪を生け込んだ生け花を置き、花材としての利用を提案した。
茶席は6席設けられ、公募で集まった県民ら約80人が参加した。能美市の女性(40)は「イ草をにおいでも味でも楽しめて、面白かった」と満足そうに話していた。
マカロンは同30日から、同洋菓子店で販売中。1個189円。