九谷焼の老舗窯元「青郊」(能美市佐野町、TEL 0761-57-2078)がこのほど、「九谷焼USBメモリー」に次ぐ新商品として、九谷焼で加飾したボールペンと名刺入れを開発した。
2007年に開発したUSBメモリーは、九谷焼を応用した初の工業製品として多くのメディアに取り上げられ販売実績を伸ばし、観光庁主催の「魅力ある日本のおみやげコンテスト」でも受賞した。
九谷焼を広くPRするため、新たに着手したアイテムが「ボールペン」と「名刺入れ」。「誰でも手にできる・持ち歩ける・陶磁器と同じく普遍的なアイテム」などの観点から開発を進めた。「昨年、ギフトショーに出展したところ、評判もよく大手企業からの引き合いもあった」と話すのは、同社社長の北野啓太さん。
北野さんによると、企画自体は7~8年前からあったが、当時は製作方法に見当も付かずやコスト面での懸念からちゅうちょしたという。今回、県が地元産業を支援する活性化ファンドの採択を受け実現した。
「セラミックと金属という異素材を組み合わせるステーショナリーにおける堅固性やアフターフォローについて、情報や知識もなく苦労した」と北野さん。焼き物ゆえの寸法精度をクリアするため導入したのが、工業部材などに使用される「ニューセラミック」。通常は、電子基板や工業機械の部品などに使用される素材に、九谷焼の加飾を応用した。
デザインはボールペン・名刺とも、同社オリジナルの九谷焼ならではの特徴的な図柄各6種と、同社が属する「九谷塾」のアーティストメンバーの3人が制作した各5種の、計22種。
北野さんは「これらの商品開発を通して、本来の九谷焼が持つ色絵の美しさなどを世間にアピールできたら。新たな素材を九谷焼に応用するこれらのケースを発展させ、今後も新たに異分野とコラボしていきたい」と期待を寄せる。
価格は、ボールペンがオリジナルデザイン=1万500円、アーティストバージョン=2万6,250円、名刺入れが同5,250円、同2万1,000円)。金沢駅の百番街で販売している。