日本海の冬の味覚の一つ、ズワイガニの漁が11月6日0時、石川県沖で解禁された。近江町市場(金沢市青草町)には翌7日朝、初物が並び、例年よりも高値が付けられたが、この日を楽しみにしていた来店客が次々に買い求めた。
県漁業協同組合では、県内の漁港に揚がる雄のズワイガニを「加能ガニ」の名で売り出している。同組合金沢港支所所属の底引き網船9隻が加盟する「金沢海産物ブランド化推進協議会」は、水揚げする雌のコウバコガニを「かないわ香箱(こうばこ)」と呼び、差別化を図っている。
初日はしけのため、輪島の小型漁船43隻が出港を見合わせ、県内漁港からは約70隻が出漁した。
近江町市場の鮮魚店では7日9時から、生きたカニやゆでガニが売り出された。大口水産は大きめの1.3キロの加能ガニを例年よりも約3割高い1万3,500円、「かないわ香箱」をはじめとするコウバコガニ200グラムを例年の2倍の1,400円で販売した。「輪島の小型漁船が出漁しなかったため、値段が安い小型のカニが極端に少ない。入荷量が増えれば、安い時は半値ほどになるので漁師さんたちに期待してほしい」(同店の近江英人さん)という。
開店後、間もなく来店した同市内に住む主婦(75)は「コウバコガニを5杯買おうと思って朝一番に来たが、値段が高いので2杯にしておく」と、値札を見て少々がっかりした様子。一方で、コウバコガニをざるに山盛りにして購入する人もおり、同市に嫁いだ娘の元を訪れているという愛知県の50代の会社員女性は11杯を手にし、「子どもたちと友人に送る。わが家では明日、主人といただく」と、意気揚々と話していた。
この日は「カニまつり」も行われ、熱々のカニ汁が販売された。まつりは今月10日にも行われる。
コウバコガニ漁は来年1月10日まで、加能ガニ漁は3月20日まで。