金沢城の「外濠(そとぼり)公園」(金沢市丸の内)の園路「白鳥路」にホタルが姿を見せ、幻想的な情景を描いている。6月15日からは「ホタル観賞の夕べ」が始まり、初日は市民や観光客ら約1040人が美しい乱舞に見入った。
白鳥路は、緑のトンネルの中に地元の三文豪の像などさまざまな彫刻が並ぶ長さ約100メートルの散歩道。金沢市が1984(昭和59)年に水路を整備し、1987(昭和62)年から1995年まで毎年、幼虫を放流したことから、ゲンジボタルが生息するようになった。今年は例年よりも数日遅い6月6日に初めて見つかり、街路灯を全て消し、あんどん15基のみの照明にした15日夜は、昨年の「観賞の夕べ」開催日よりも多い90匹が確認された。
ゲンジボタルは前胸部に十字架のような黒い模様があるのが特徴。「観賞の夕べ」を主催した市環境政策課によると、高く飛び、強く光るのがオス、水面近くの低い位置にいて優しい光を発するのがメスで、オスはメスに求愛しているという。
白鳥路沿いに植えられた樹木は、点滅する白い光に彩られてクリスマスツリーのように見える。ホタルは三文豪の像の周りも飛び回り、訪れた人たちから歓声が上がった。中には人を恐れず、そっと指にとまるホタルもあり、野々市市から訪れた中村優香ちゃん(6)は両親と一緒にうれしそうに眺めていた。
ボランティア団体「白鳥路ホタル友の会」が運営を担い、「金沢ホタルの会」が説明役を務めた。
市環境政策課担当課長補佐の寺岡克広さんは「金沢のまちなかにもホタルがいることを知っていただきたい。ホタルは環境の良い場所でしか生息できないので、皆さんにも環境に優しくするという意識を持ってほしい」と話す。白鳥路ではこの後、ヘイケボタルも飛び始めるという。
「観賞の夕べ」は6月22日~24日にも行われる。時間は20時~21時30分。事前申し込み、入場料・説明料は不要。