食品の研究開発を行う日本海藻食品研究所(金沢市本江町)が、高温でも型崩れしないホットタイプのソフトクリーム「ホットクリーム」を開発した。
同社は2009年3月、おからペーストと米粉などを配合することで、常温で1時間放置してもできたての姿をキープする「溶けにくいソフトクリーム」を開発し、全国的に注目を集めた。
ホットクリームは同社が昨年から開発に取り組んできたもの。カップで食べる温かいクリーム状のスイーツは存在するが、同社はソフトクリームならではの立体的な形をキープすることにこだわって研究を重ね、「高温でのクリームの成型は不可能」という業界の常識を覆した。
見た目は普通のソフトクリームと変わらないが、できたては約65℃で湯気が立ち上る。食感はねっとりとしていて和菓子のよう。放置してもほぼそのままの形を保ち、電子レンジで温め直すこともできる。温かい料理と並べても溶け始めないことから、同社会長の白石良藏さんは「お子さまランチのデザートとして盛り付けたり、揚げたてのドーナツでサンドしたりと、さまざまな応用が可能」と笑顔を見せる。
特殊な機械が不要な点も大きな特徴。通常、ソフトクリームを成型するには高額な専用機械が必要。同社でもホットクリームの開発と平行して機械の開発を進めていたが、「販売店の設備投資を抑えたい」(白石さん)との思いから路線を変更し、絞り袋に入れたクリームを電子レンジや保温庫、湯せんなどで温め、手で絞り出すスタイルにした。
そもそもは大量に廃棄される「おから」がもったいないという発想から始まったソフトクリームシリーズの開発。白石さんは「規格外の特産野菜などを混ぜ込んで、全国各地の販売店でご当地ホットクリームを発信してもらえれば」と期待を込める。