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金沢在住の少女漫画家・波津彬子さん原画展-石川近代文学館

展示された原画に見入る来場者

展示された原画に見入る来場者

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 金沢市在住の少女漫画家波津(はつ)彬子さんの作品世界を紹介する「幻想迷宮 画業30周年記念波津彬子原画展」が現在、同市の石川近代文学館(広坂2、TEL076-262-5464)で開かれており、訪れたファンらがその魅力に浸っている。

聴衆を前に創作秘話を語る波津彬子さん(正面右)

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 波津さんは1981(昭和56)年デビュー。現実と異界が交差するストーリーを得意とし、泉鏡花の「天守物語」「夜叉ケ池」「海神別荘」、芥川龍之介の「椒図志異」を漫画化した作品も発表している。現在は小学館の「flowers」などで連載中。

 同館では、鏡花作品の展示に際し、度々波津さんの漫画を併せて紹介していたことから、画業30周年の節目に合わせて原画展を企画した。同館によると、少女漫画家の作品展は近年、東京などの文学館でも開催されているという。

 会場は、波津さんが採り上げたテーマ別に「日本編」「異国編」「文学・装画」の3コーナーに分け、「文学・装画」の部屋には「天守物語」全68ページの原画を展示。「日本編」の部屋には、骨董(こっとう)店を舞台にした20年を越える長期連載「雨柳堂夢咄(うりゅうどうゆめばなし)」シリーズの1話を用意。骨董店「雨柳堂」も再現し、水彩絵の具で仕上げた表紙絵や日ごろ使っているインク、ペン、雲形定規、羽根ぼうきも公開している。

 11月6日には、波津さんのお話を聞く会も行われた。当日は、波津さんが約100人の聴衆を前に「雨柳堂夢咄」の創作秘話を披露。「1回目は、初めに絵から抜け出すというネタがあった。少女漫画なので若い男の子を出した方がいいかなどと考えて、骨董屋の設定にした」と明かした。さらに、「毎回、ネタづくりに苦労している」と実感を込めて話し、聴衆を笑わせた。

 同館の奥田知穂さんは「波津さんの作品も含め、少女漫画は近代の日本文学と同じく登場人物の内面を描いていて、とても文学的。漫画ファンのみならず多くの方に楽しんでいただきたい」と来館を呼び掛ける。

 開館時間は9時~17時。入館料は、一般=350円、大学生=280円、高校生以下無料。来年2月28日まで。

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