百万石・金沢を熱くした「百万石音楽祭2014~ミリオンロックフェスティバル~」のステージ
立山エリアのステージ前はスタンディングエリアになっており、後方は階段状になった客席が設けられた。またエリア内には各アーティストグッズの販売コーナーや休憩用のテーブル席を用意。
7日はCROMARTY、FOLKS、キュウソネコカミなど7組が出演し、「地元バンドに次いで金沢でライブをたくさんしている」と自負するnano.RIPEが「ノクチルカ」などを披露した。
8日はSHANK、結成25周年を迎えたフラワーカンパニーズなど7組が出演。Seattle Standard Cafe'のステージには、同公園内陸上競技場をホームスタジアムとするJリーグチーム「ツエーゲン金沢」のマスコット・ゲンゾーが登場し、同バンドが歌う「ツエーゲンのテーマ」と共にパフォーマンスを繰り広げた。
Seattle Standard Cafe'(=シアトルスタンダードカフェ)は「金沢から音楽と笑顔を」をテーマに活動する5人組ロックバンド。ボーカル・中新賢人さん、ギター・木多良介さん、ギター・川本将史さん、ベース・村井渉さん、ドラム・加納正喜さんで結成。2013年には石川県より、「いしかわ観光特使」に任命され、現在北陸新幹線金沢開業PRソング「かがやき」を歌う。ライブ後にインタビューを行った。
日本全国47都道府県を回るツアーや台湾や中国などアジア諸国でもライブ活動やリリースを行う同バンドから見た石川県人の特徴は、自分たちも含めて「よく言えば奥ゆかしい」。だが、「新幹線開業を来年に控えた今こそチャンス」であり、「のんびりやの北陸人も、開業してからの『本番』に向けてしっかり金沢の良さ、北陸の良さを伝えていかなくては」と訴える。
今後の金沢での活動に対しても、「金沢全体が盛り上がっているこのタイミングは音楽業界や地元バンドにとっても追い風となる。ちゅうちょせずに自分たちのものをつくって発展させ、経済効果につなげていけたら」と期待を寄せた。
「いしかわ観光特使」として石川県の好きなところや薦めたいところを尋ねると、「街がきれい、景観を保存する金沢人の力」(中新さん)、「新しくなった金沢駅」(木多さん)、「海の幸やお酒など」(川本さん)、思い出の味という「俵屋のじろあめ」(村井さん)、「日本海を楽しめる内灘ビーチ」(加納さん)とのこと。しかし加納さんが「今は情報ばかりすぐに得ることができるが、金沢はいいところが本当にたくさんある。聞くよりも実際に金沢に来てもらうことでそれを感じ取れるはず。自分の好きな金沢を見つけてほしい」と話すと、メンバー全員が同意し、多くの来県者があることを願った。
白山エリアは立山エリアと比べて会場内が広く、ステージの両サイドにはモニターが取り付けられ、後方の観客にもアーティストの表情がよく見えるように工夫されている。同じく後方には階段状になった客席が設けられた。階段の裏側では「SoftBankブース」や東北大震災により被災した地域にライブハウスを建設する活動「東北ライブハウス大作戦ブース」などが並んだ。
7日にはthe telephones、BIGMAMAら8組が出演。 2年連続出演のA(c)は代表曲「涙色トレイン」で、北陸新幹線開業PRマスコット・ひゃくまんさんと競演し会場を沸かせた。ザ・クロマニヨンズのボーカル甲本ヒロトさんは「こんなすごいお祭りイベントに呼んでくれてありがとう」と述べた後、同日開催の市祭・百万石祭りにも触れ、「足し算でもう一つ祭りがあって、今日の金沢はものすごいぞ」と叫び、観客からは大きな歓声が上がった。2年連続出演の[Alexandros]が、バンド結成以来今回が初となる音楽フェスでのトリを務めた。
同じく8組が出演する8日は11時の開始直後から会場が多くの観客で埋め尽くされ、ROTTENGRAFFTYのパフォーマンスで幕を開けた。破壊(阿部サダヲさん・俳優)、暴動(宮藤官九郎さん・脚本家)、「あまちゃん」の俳優陣としても知られるバイト君(杉村蝉之介さん)、港カヲル(皆川猿時さん)などが結成するグループ魂は歌ありトークありのライブを見せ、以前金沢にツアーで訪れた際に食べたキュウリの天ぷらや、今朝飛行機で会場に向かう際のエピソードなどで観客を沸かせた。氣志團は団長の綾小路翔さんが「大好きな石川県金沢市にやって来ました」とあいさつ。紅白出場曲「One Night Carnival」で会場を一つにした。2年連続大トリを務めたのは、京都出身の3人組ロックバンド10-FEET。代表曲「RIVER」では歌詞中に金沢市内を流れる犀川を引用し、全国から集まった観客を大いに魅了した。
1日目の白山エリアに出演した「A(c)(=エーカッコシー)」に話を聞いた。ボーカル・ギターの白江宗司さんとベースの野﨑寿美さん、サポートドラマーの3ピースバンドで、2004年に金沢で結成した。今年、10周年を迎える。
1回目となる昨年に引き続き、2年連続で同イベントに出演。前回出演時と比べて、「昨年よりステージ時間が長かったため、自分たちを余すことなく全部見せることができた。まるで一本の映画をしっかり見てもらったよう」と白江さん。地元での大きな音楽フェスの開催について、「こんな規模のものはなかったので、まずうれしい。地元のお客さんたちが喜んでいるのもうれしい」と笑顔を見せる。
地元金沢が大好きだという2人にとって、白江さんは美しい犀川の風景が、野﨑さんは温かい金沢の人柄が、県外の方に薦めたいポイントだという。ライブで訪れた際、石川県民の温かさに触れたというファンに、「A(c)のルーツが分かった気がすると言われたのがうれしかった」と言い、金沢の良さや空気感を「これからも音楽を使って紹介していきたい」と語る。
10月4日には1000人規模の音楽イベント「金沢一生青春FESTIVAL」を金沢市民芸術村(大和町)で自ら主催する。金沢の音楽シーンを「自分たちで作っていかなくては」と、今後の展開に向け意欲を見せた。
立山エリア近くには大規模飲食ブースを設け、全国から17店舗が出店。「博多白天ラーメン」「信州の山賊焼き」「富士宮やきそば」などの屋台が並んだ。県内からは「マルガージェラート」(能登町)も出店。長野から来たという出店者は「自分も音楽が好きなので同イベントへの出店を決めた。同じく長野から来たというお客さんもいた」と話し、共に働く女性は「次はぜひ旅行で来て兼六園などを見て回りたい」と笑顔を見せた。
「地酒オフィシャルドリンク」では、「天狗舞」(車多酒造)、「加賀梅酒」(小堀酒造店)を使ったカクテル(500円)を販売。北陸三県から「福井ソースカツ丼」「石川ハントンライス」「富山氷見うどん」など6店舗が出店し、県内外からの来場者は行列を作った。市内から来たという女性は「小松塩やきそば」を購入、「地元から見てもご当地グルメは魅力的。もっと増やしてほしい」と語った。