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農家のアンテナショップ「風土金澤」が発信
石川の変化に富んだ風土が生み出す、多様な味わいの米

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■ 地元に愛され、全国に発信できる農業を目指す

「風土金澤」は、石川県内の農家らがつくる「加賀・能登こだわり食材生産者ネットワーク」の有志10社が共同で立ち上げた農家のアンテナショップだ。「農業の可能性を追求すること」「自立した経営を目指すこと」「おいしさと安心安全を届けること」などを目的に、2010年11月、近江町いちば館(金沢市青草町)に1号店をオープン。今年11月1日にはJR金沢駅のショッピングモール・金沢百番街に2号店をオープンした。

同店では米をはじめ、みそ、しょうゆ、餅、乳製品、スイーツなどの農産加工品を販売する。農家が加工まで行い、共同で店舗を経営するスタイルは全国的にも珍しく、県外からの視察も多いという。

風土金澤代表で「金沢大地」社長の井村辰二郎さんは「石川の農家のことをまず地元の方に知ってもらいたい。その上で石川の農業を全国に発信したい」と話す。

近江町いちば館にアンテナショップ「風土金澤」-県内農産物や加工品を販売(金沢経済新聞)

風土金澤

金沢大地

■ 石川の変化に富んだ風土が育む多様な味わいの米

同店の目玉となっているのが、県内各地の農家が育てたさまざまな品種の米の量り売りコーナーだ。店頭でスタッフに相談すれば、好みに合った米を選んでくれる。

そもそも石川は、加賀百万石と称され、江戸三百諸侯のうちで石高ナンバーワンだった加賀藩の中心地。現在も全国的に見れば耕作面積や生産量こそ小さいものの、「味や質では有名ブランド米にも引けはとらない」と井村さんは胸を張る。そんな井村さんが強調するのは、「石川にはさまざまな味わいの米がある」こと。海抜450メートルの山間部から海岸線ぎりぎりまで、変化に富んだ水田が入り交じっているのが石川の稲作農業の特徴だ。栽培技術も一律ではなく、農家の工夫がものをいう。

■ おいしい米を育てる、個性豊かな石川の農家

米の味を決めるのは自然条件だけではない。地の利を生かして、あるいは地の不利を解消して米を育てるには人の手と知恵が欠かせない。石川が学問や美術工芸の分野で世界的な逸材を輩出してきたことはよく知られているが、「加賀百万石の精神性なのか、農業の世界にも高い技術と志を持った人材が多い」と井村さんは話す。2011年度までに50回を数える農林水産祭で、最高の栄誉である天皇杯(農産部門)を、石川県では5軒もの農家が受賞している。

現在、店頭に米を並べている農家は8軒。奥能登から元気な農業を発信する川原農産(能登町)、有機小麦・大豆のシェア日本一で知られる金沢大地(金沢市)、まちの真ん中の水田を守っている林農産(野々市町)、清流と寒暖の差に恵まれた白山麓に田を持つ北辰農産(白山市行町)、栽培から加工、レストラン経営まで手掛ける六星(白山市)、広い農地をきめ細かく管理する和多農産(白山市)、金沢平野の真ん中で先祖代々農業を営むたけもと農場(能美市)、牛ふん堆肥を使って循環型の稲作を行う酪農家、平松牧場(加賀市)と個性豊か。米の背景にあるストーリーと農家の思いを知れば、米の味わいも変わる。

川原農産

林農産

北辰農産

六星

和多農産

■ おいしさを競うのではなく、違いを楽しんで

風土金澤では、石川の農家が育てたさまざまな味わいの米を気軽に楽しんでほしいと、8種類の米の2合袋シリーズもそろえている。少しずつ食べ比べたいという地元消費者のニーズに応えるとともに、詰め合わせれば遊び心のある特産品ギフトにも。お土産品としても手頃なサイズと価格だ。

井村さんは、米の味の好みは人それぞれとしながらも、「どれが一番おいしいと決めるのではなく、米の多様性を楽しんでもらえれば」と話す。

風土があって、人があって、そこにおいしいお米ができる。お米の味は一つじゃない。そう考えると、米のある食卓がもっと豊かになる。

たけもと農場

平松牧場

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