京都大学大学院情報学研究科の梅野健教授と、京都大学工学部4回生の山本信吾氏が中心となるグループ(物理統計学分野)は、2026年1月1日にリリースした2024年の能登半島地震前後の電子数密度の変化に関する追加実験を行いました。この実験により、より正確なデータの提供と2026年1月1日にリリースしたデータの一部修正を実施しました。用いた手法である高速高精度三次元電離圏トモグラフィー(FCIT)により、能登半島地震の直前に電子数密度が増加し、急減している事実は変わりませんでしたが、地震発生地域とその他の場所との高度別変化の違いがより明瞭に示されました。
2026年1月1日リリースの詳細は以下のリンクをご参照ください:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000168434.html

図1: 2024年1月1日の電子数密度推移のヒートマップ(追加データ)。横軸は協定世界時(UT)で、UTに9時間を加えると日本時間(JST)になります。縦軸は高度を示し、このヒートマップにより、電子数密度の高度別推移が一目で分かるようになっています。2024年能登半島地震の発生時刻は07:10(日本時間16:10)であるため、能登半島地震の直前である04:30(UT)から07:00(UT)まで、電子数密度が高度250kmから375kmの範囲で増加していることが明瞭に確認されます。 一方、電子数密度が0.06[TECU/km]以上の最高高度が階段状に降下していることから、2025年5月にイオノゾンデ(電離層観測装置)で解析し論文発表した結果(https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2025-05-02-1 - 2025年5月京都大学プレスリリース)で示した「能登半島地震直前の電離層降下」と矛盾しない結果が得られました。
修正したデータは、図2に示す2024年能登半島地震震央直上の電子数密度の高度別プロファイルのグラフ(2026年1月1日リリースの図1と図2を修正)となります。
修正したデータは、図2に示す2024年能登半島地震の震央直上の電子数密度の高度別プロファイルのグラフ(2026年1月1日にリリースした図1と図2を修正)となります。

図2:修正した2024年1月1日の能登半島地震震央直上の電子数密度推移の高度別プロファイルです。同日朝7時頃に発生したX5.0太陽フレア以降、電離圏の電子数密度が増加し、地震直前に電子数密度が増加した後、急降下していることが示されています。その結論は2026年1月1日リリースと変わりません。 また、能登半島地震の震央付近上空の特徴的な現象として、高度190-220km(青色)、高度250-280km(水色)、310-340km(緑色)のUT05:00付近(日本時間14時頃)で上向きのパルス状の突発的な電子数密度の変化(急上昇)が見られる一方で、高度400-430km(オレンジ色)の電子数密度の変化は下向きのパルス状の変化(水色)が観察されました。
追加したデータ(その2)は、以下の図3に示す2024年能登半島地震とは異なる領域(2024年8月8日に発生した日向灘地震発生付近)における2024年1月1日の電子数密度推移の高度別プロファイルです。緯度が31度と能登半島地震震央付近(緯度38度付近)と比べて低緯度であることから、図2と比較して電子数密度が高く、高度別電子数密度プロファイルの変化がなだらかであり、地震発生直前の電子数密度のパルス状の突発的な変化は見られません。 実際に高度別プロファイルの電子数密度の差を見ると、常に、高度310-340kmの電子数密度と高度250-280kmの電子数密度の差が正の穏やかな変化を示すのに対し、図2では両者が大きくなったり0に近づいたりと激しい変化を示しています。これは、震央付近の電子数密度の高度別変化が激しかったことを示すものです。
このことから、震央付近上空の電離層には、電子数密度の急激な上下方向の変化を引き起こす外部要因(地震準備過程と推察される)の証拠が存在すると考えられます(図2と図3の比較)。

図3:2024年能登半島地震とは異なる領域(2024年8月8日に発生した日向灘地震発生付近)の2024年1月1日の電子数密度推移の高度別プロファイルです。緯度が31度と能登半島地震震央付近(緯度:38度付近)と比較して低緯度であることから、図2と比較して電子数密度が高く、高度別電子数密度プロファイルが図2(震央付近)と比較してなだらかであり、地震発生直前の電子数密度のパルス状の変化は確認できません。また、図2の05:00付近(地震発生2時間10分前)に見られたパルス状の突発的かつノイズのような電子数密度の変化が見られず、高度別電子数密度の変化がなだらかであったこと(電子数密度の変化をもたらす外部要因が存在しないこと)を示しています。逆に、図3に対して図2は、震央付近の電離層には電子数密度の変化をもたらす外部要因があることを示す結果となります。
ここに、2026年1月1日のリリース(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000168434.html)の一部データ(2026年1月1日にリリースした図1、図2)に修正(表示プログラムの誤りが原因)があったことをお詫びし、謹んで訂正いたします。
今後、今回明らかにした2024年能登半島地震直前の電離層電子数密度の高度別プロファイルの詳細を突き詰め、大地震発生直前の電離圏異常の物理メカニズムを解明して参ります。
<問い合わせ先>
京都大学大学院情報学研究科・教授
梅野健(うめのけん)
TEL:075-753-4919
E-mail:umeno.ken.8z@kyoto-u.ac.jp