石川県の伝統文化として知られる輪島塗の技術を40年余り受け継ぐ輪島漆芸技術研修所(石川県輪島市)の卒業生作品展が現在、石川県立伝統産業工芸館(金沢市兼六町1、TEL076-262-2020)の第1回企画展として開催されている。
同研修所は輪島塗の高度な技術を継承し、重要無形文化財保持者を養成する機関として1967(昭和42)年輪島市に開設置され、今日に至るまで651人の卒業生を輩出してきた。昨今では県外はもとより海外からの志望者も研修に励んでいる。未経験者を対象に基礎技術を習得する2年間の「特別研修課程」と、「そじ科」「きゅうしつ科」「蒔絵(まきえ)科」「沈金(ちんきん)科」の専門分野をそれぞれ専門的に学ぶ3年間の「普通研修課程」のコースがある。
同展では、人間国宝として認定された講師から直接指導を受け、生きた技を習得した卒業生の力作から53点を展示、漆芸技術の奥深さ、レベルの高さ、漆器の美しさを感じられる内容となっている。
1970(昭和45)年卒業、2006年に卒業生として初めて人間国宝に認定された小森邦衛さんの「沈金楓樹文色紙箱」、1995(平成7)年卒業の坂下好晴さんの「八角鏡箱『天遊』」、1994(平成6)年卒業のスーザン・リー・ロスさんの「蒔絵小・笥『MIDSUMMER’S NIGHT’S DREAM』」など、技術の高さに加え洗練された個性が光る作品が並んでいる。
同館副館長の伊藤軍司さんは「石川県の伝統文化である輪島塗の技術を学ぶ場としての研修所の存在や、漆文化の美しさについて多くの人に知ってもらいたい」と話す。
開館時間は、9時~17時。入場料は、18歳以上=250円、17歳以下=100円、65歳以上=200円。7月12日まで。