金沢の小さな菓子店、人気に-東京の女性パティシエがIターン開業

有機ニンジンを使ったカノム・タオの「にんじんケーキ」

有機ニンジンを使ったカノム・タオの「にんじんケーキ」

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 金沢市を流れる犀川のほとりにある完全受注生産の小さな菓子店「Khanom.Tao」(カノム・タオ)(金沢市法島町9、TEL 076-241-6202)が人気を集めている。

知人のアーティストに依頼して作ってもらった「カノム・タオ」の看板。

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 同店を営むのは保育園に通うふたりの娘の母親で、東京から金沢にIターン移住したという中村さん。目指すのは、子どもにも安心して食べさせられる菓子で、素材はオーガニックや国内産の安心できるものを厳選。保存料は一切加えない。1週間分の注文をまとめて製造・販売する完全受注生産が人気で、インターネットによる通信販売がメーン。予約すれば店頭で受け取ることもできる。

 中村さんは調理の専門学校を卒業後、元フランス大使館フランス文化担当で、現在はライフスタイルデザイナーとして活躍しているパトリス・ジュリアンさんが手がけた東京都港区白金台のレストラン「サントル・フランセ・デ・ザール」(現在閉店)に勤務。その後、渋谷区恵比寿にオープンした系列店「ル・ジャルダン・ドゥ・ジュリアン&ビス」(現在「Aila」としてリ・オープン)でパティシエを務めた。

 中村さんは結婚・出産を経て退職した後も、イベントやパーティーにオリジナルレシピの菓子を提供するなどの活動を続けていたが、2007年に家族で移り住んだ金沢で自分のブランドを立ち上げた。独身時代から旅行で度々金沢を訪れていた中村さんだが、金沢移住の決め手となったのは、のびのびとした環境で子どもたちを育てたいという思いから。「金沢は風情がある街。海、山にも近くて自然に恵まれている。毎日満員電車に揺られる暮らしに疑問を持っていた夫も同意してくれた」(中村さん)と話す。

 店名のKhanom.Taoは、タイ語で「カメの菓子」を意味する。カメはパトリスさんが中村さんに付けたニックネーム。同店の菓子は「パトリスさんの下で学んだフランス流のレシピをアレンジし、手づくりの温かさを加えたもの」(同)。特に同世代の女性の支持を受け、東京と金沢を中心に全国から注文がある。同店の人気商品「マーブルのブラウニー」は、ひがし茶屋街にあるカフェ「茶房一笑」(東山1)で、期間限定の茶菓子として採用されたこともあるという。

 ネットショップには「和三盆のぼうろ」(450円)や「カランツのスコーン」(550円)などホワイトデーギフト向けの商品も並ぶ。生産できる量は限られているが、「心を込めて一つひとつ手づくりしていきたい」と中村さんは語る。

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