石川生まれの7色のフリージアが2月下旬にも、市場に出荷されることになった。石川県農業総合研究センターが年月をかけて作った新しい品種で、関係者は卒業式や送別会を彩る「旅立ちを祝う花」となるよう期待している。
同センターによると、国内の市場に流通するフリージアのほとんどはオランダで作られた品種で、黄色が約8割を占める。濃い紫やピンク色のものもわずかに存在するが、冬季の気温が低い石川県内では、「花の最需要期の一つ」とされる3月までに開花させることができないため、同センターが1997年から日本人好みの色で、県内の風土に適した新品種の開発に取り組んでいた。
まず完成したのが薄紫色で、2008年3月に初出荷。しかし、生花店などから「他の色も欲しい」と要望があったため、新たに60種類のフリージアを交配して約1万9000種類の種をとり、この中から100種類を育て、生花店や花卉(かき)農家、市場関係者の意見を聞いたうえで黄色、赤紫、ピンク、オレンジ、白地に薄いピンク色の模様が入った八重咲き、同じく八重咲きの赤の6種類を加えることにした。
現在、県内の農家26戸が同センターから譲り受けた約4万個の球根を育てており、早ければ2月下旬から出荷を始める予定。初めて7色の県産フリージアが生花店の店頭に勢ぞろいすることになる。
県とJA全農いしかわは2月14日から新品種の名称とキャッチフレーズ、花言葉の募集を始めた。さらに同日、関係者らがJR金沢駅東口もてなしドーム(金沢市木ノ新保町)で乗降客らに300本の花を配りPR。名称などは、県内の生花店店頭に配置された応募はがきか県のホームページから応募できる。締め切りは4月15日。結果は12月に発表される。
同センター育種栽培研究部育種グループ専門研究員の村濱稔さんは「『フリージアといえば黄色』というイメージを一新したい」と意気込みを見せる。「花屋さんから『ブライダル需要が見込める白色も作ってほしい』と要望されており、研究を進めていく」とも。