酒かすから培養したツバキ酵母でパン-野々市のパン工房が商品化

ツバキ酵母で焼かれた「パン ドゥ カンパーニュ」(右)と「パン ォ ルヴァン」

ツバキ酵母で焼かれた「パン ドゥ カンパーニュ」(右)と「パン ォ ルヴァン」

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 町花木であるツバキをキーワードにしたまちおこしを進める野々市町でこのほど、ツバキの花から抽出した酵母で醸した日本酒の酒かすを利用したパンが商品化され話題を呼んでいる。パンは酒かすの中に含まれるツバキの酵母菌をイースト菌の代わりに使っており、手間暇かけて焼かれた新商品の誕生に、町関係者の間では「野々市町の新たな名物」として期待する声が高まっている。

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 パンを開発したのは「ゆうりママ」(稲荷3 、TEL 076-294-7744)で、フランスの田舎パンである「パン ドゥ カンパーニュ」(400円)とフランスパンの「パン ォ ルヴァン」(200円)を販売する。いずれのパンも内側のモチッとした食感とやわらかな酸味が特徴で、チーズや肉料理によく合う。

 きっかけは、同町商工会が今年7月、地元特産のブランド酒「ichi 椿」の製造過程でできる酒かすを有効活用できないかと店主の吉村誠さんに相談したこと。「ichi 椿」は産学官連携の「野々市ブランド酒検討会」が昨年3月に商品化した酒で、酒米、水、酒造用酵母のすべてを地元産でこだわり、特に酵母はツバキの花から抽出したものを使っている。

吉村さんは、この「ichi 椿」の酒かすに水と砂糖を加え、5~6日かけて酵母菌を培養した。一般に使われるイースト菌と違い、気温などの気象条件によって発酵具合が安定しないという問題があり、吉村さんは生地の発酵時間を通常の8倍の16時間とすることで解決した。

 2種のパンは8月下旬から店頭で売り出すとともに、町内のレストランのランチ用パンにも採用され、順調な売れ行きを見せている。吉村さんは「手間のかかるパンだが、野々市町のPRに少しでも役立てればうれしい」と話す。

 営業時間は9時~19時。火曜・第1月曜定休。

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