石川県デザインセンター主催の「感性価値創造デザインセミナー」が3月9日、石川県地場産業振興センター本館(金沢市鞍月2)で開催され、県内の情報端末機や陶器・家具・工作機械のメーカー、インテリア内装業のデザイナーら約70人が「消費者の感性に訴えるデザイン」について学んだ。
「感性価値が付加された製品・サービス」とは、知的好奇心を高めたり、物語性や歴史があったり、もてなしの心が込められていたり、環境に配慮されていたりするなど、機能や価格とは違う「感性」に触れる部分に新たな価値を加えたデザインのものをいう。
日本製品はこれまで世界市場で、機能面から高い評価を受けてきたが、近年、中国や東南アジアの進出が著しく、機能や価格だけでは太刀打ちできなくなっている。このため、経済産業省は国内企業の国際競争力を高めようと、感性価値の高い製品づくりを後押ししており、2008年度は東京とパリ、2009年度は神戸とニューヨークで、秀作を集めた展示会を開催した。
当日は、経済産業省製造産業局デザイン・人間生活システム政策室長補佐の渡邊郷さんが、国のデザイン政策について説明。その後、神戸で昨年開催された「感性価値創造ミュージアムin KOBE(イン・コウベ)」の実行委員長を務めたデザイン研究所代表のムラタ・チアキさんが「作り手と使い手の共感創造に向けて」と題した講演を行い、自身がデザインした製品を紹介した。
ムラタさんは、「ステーショナリー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した、広いところも細いところも消せる消しゴムや、ヨーロッパでの生産が決まった和紙製の照明器具、変形コンセントなどの写真を見せ、「デザインは懸けであり、評価されるものと実際に売れるものとは違う」と持論を展開した。
経済産業省は今後、10月に金沢21世紀美術館(広坂1)で、12月には香港で公募展「感性価値創造フェア」を開く予定。