金沢21世紀美術館の隣に9月19日、ギャラリー「SLANT」(金沢市広坂1、TEL076-225-7746)がオープンした。1回目のエキシビションとして、ファッション誌やカルチャー誌、広告、CDジャケッなど幅広い分野で活躍する2人の写真家、平野太呂さんと若木信吾さんの写真展「XEROXED(ゼロックスド)-ZINE(ジン)のような写真展-」が開催されている。
ZINE(ジン)とはMagazineに由来する言葉で、個人やグループが表現の場として制作する非商業的な小部数の出版物を指す。写真、絵、文章などをまとめてコピーして簡易にとじたスタイルが多い。
今回はZINEの制作手法やコンセプトを「写真展」に置き換えた。平野さん、若木さんは9月17日に東京を出発し、それぞれ1泊2日の気ままな旅を経て18日に同ギャラリーに到着。その道中で撮影した写真をプリントアウトし、さらにゼロックスの大判コピーでモノクロ出力。この中から思いつく順に作品を重ね、束にしてギャラリーの壁に貼り付けた。ZINEのページをめくるように作品を見る仕掛けだ。
同展で使用する「XEROXED(ゼロックスド)」の名の由来である「ゼロックスする」は、かつて「コピーをとる」の意味で使われていた言葉。写真展は同ギャラリーのオープンとともに今月19日にスタート。オープニングイベントとして平野さん、若木さん、編集者の柴田隆寛さんによるトークセッションが行われ、ギャラリー前の路上にまで来場者があふれた。
旅のシチュエーションということから、今回撮影に用いられたのはプロユースの機材ではなくコンパクトなデジカメや携帯電話のカメラ。作品はコピーすることで粒子が粗くなり、コピー特有の線も現われている。同ギャラリーを運営する日村征ニさんは「ざらついた画面を通して、残像のような旅のイメージを感じてもらえれば」と話す。
SLANTは「傾斜、斜面、傾向」などの意味。日村さんは「ものごとを斜めから見ることを提案したい」と話し、「次回も皆さんが『この人が金沢に来るなんて思いもよらなかった』というアーティストを招きたい」とも。展示作品は購入可能で展示作品をもとに制作したオリジナルTシャツも販売している。
営業時間は12時~20時。会期中無休。入場無料。9月27日まで。