金沢市をはじめ北陸3県でゴールデンウィーク中に繰り広げられる「ラ・フォル・ジュルネ金沢『熱狂の日』音楽祭2009」のプレイベントが4月28日、各地で開催され、会場は今年のテーマである作曲家・モーツァルトの旋律に染まった。
モーツァルト風の出で立ちでピアノを演奏する中林さんとオーケストラ・アンサンブル金沢
同音楽祭は、子どもたちも入場できる演奏が多く企画され、1公演の時間が通常の演奏会より短く、チケット料金は1,500~2,000円が中心。無料コンサートも開催されるなど、気軽にクラシック音楽を楽しめるのが特徴。金沢市の石川県立音楽堂、金沢市アートホールを中心としたJR金沢駅周辺エリアのほか、福井県立音楽堂、富山県高岡文化ホールなどを会場に約150公演が予定されている。
同日、各地の小中学校や大学の吹奏楽団やマーチングバンド、管弦楽団によるオープニング・ファンファーレがJR金沢駅、JR富山駅、JR福井駅、近江町いちば館、ウィング・ウィング高岡、JR加賀温泉駅の各会場に鳴り響き、同音楽祭の幕開けを告げた。JR金沢駅周辺エリアでは、金沢大学フィルハーモニー管弦楽団、おんぼらーとアルプホルン金沢、金沢市立泉野小学校マーチングバンドがファンファーレなどの演奏で大勢の聴衆を引き付けた。
石川県立音楽堂で行われたオープニング・セレモニーでは、前田家18代当主で同音楽祭実行委会長を務める前田利祐(としやす)さん、谷本正憲石川県知事、石川県芸術文化協会の飛田秀一会長が「出演者、参加者の熱意を原動力に、来年以降もこの音楽祭を続けて定着させていきたい」などとあいさつした。同音楽祭アーティスティック・ディレクターのルネ・マルタンさんは「ラ・フォル・ジュルネは、音楽に普段触れない人に音楽を知ってほしいという精神・哲学を持ち合わせた音楽祭。当地でのプレイベントでの様子を見て、その精神が浸透していると確信した。モーツァルトがこの中に交じっていたら、こんなにたくさんの人が来ていることをうれしく思うだろう」と述べた。
同音楽堂コンサートホールで同日行われたオープニング・コンサートは、全席(1,560席)完売し、立ち見客が出るほどの盛況ぶり。同音楽祭のアーティスティック・プロデューサーであるオーケストラ・アンサンブル金沢の井上道義音楽監督の指揮の下、オーケストラ・アンサンブル金沢とソリストが交響曲第41番「ジュピター」などモーツァルトの作品を奏でた。「ピアノと管弦楽のためのロンド」では、金沢大学附属中2年の中林理力(りりき)さんがモーツァルト風の出で立ちで鍵盤をたたいた。邦楽ホールでは、能と箏(こと)とモーツァルトのコラボレーションで伝統芸能が盛んな金沢ならではの独自色を打ち出した。
プレイベントは5月1日まで。本公演は5月2日~4日に開催される。