金沢美術工芸大学の有志でつくるアートグループ「ARTISTONE」が3月20日~22日、石引商店街(金沢市石引)の活性化を目指したイベント「アートステーション・石引」を開催した。
「ARTISTONE」とは、美大生を表す「Artist」と、石引の「石」の「Stone」を組み合わせた造語で、金沢市が「まちなかアートマネジメント事業」の一環として行う大学と商店街の共同プロジェクト。2007年から共同でマスコットキャラクターやイベントを企画するなどの活動を行ってきた。同イベントは、活動2年目のファイナルとして開催された。
昭和40年代まで路面運行していた市電にスポットを当て、終着駅だった石引界隈を「駅」に見立てた。空き店舗を利用し、美大生自らが再現した市電の車内や、元乗務員から借りた制服や乗務員証、当時の写真などを展示。市電にまつわる住民のインタビューを収録した映像も上映された。訪れた人が各スポットを徒歩で巡り、商店街の散策できる企画とした。期間中、当時の様子を知る年配の住民や家族連れが懐かしそうに展示作品を見ながら商店街を歩き、学生らと交流した。
また、市電の時代に運行していた「花電車」を模し、美大生がデコレーションしたシャトルバスがポップな装いで華やかさを演出、同商店街の広場と金沢21世紀美術館を結んで1日7往復した。そのほか、同イベントのため商店街の各店が自慢の味を詰めた「駅弁」も販売。すし店・豆腐店などが協力し、「手作り総菜の詰め合わせ」「海鮮ちらし寿司」「玄米を使ったおふくろの味を盛り込んだ弁当」などを500円~1,200円を提供した。中でも「キッチンすぎの実」の「カキハントン駅弁」、「かふぇどる~ふ」の「野菜たっぷりのおふくろの駅弁」、「手取寿司」の「花ちらし駅弁」などが人気を集めた。
メーン広場の下馬地蔵広場では、能登ガキや門前そば、地元商店街の総菜や菓子、地酒などの屋台がイベントを盛り上げ、つきたての餅をぜんざいにして振る舞われた。
ARTISTONEのメンバーは「市電が走っていた当時のことを知らない私たちの世代だけに、当時のグッズを集めるのは大変だった。今でも保存している人がいることに驚き、当時のことを紹介することが、今の商店街も活性化につながれば。商店街を歩きながら街の雰囲気を楽しんでほしい」と振り返った。