石川県内の家庭で正月に飾られていた伝統的な飾りが現在、「金沢湯涌江戸村」(金沢市湯涌荒屋町)に移築した旧家の建物で展示されている。
べんがら塗りの壁が特徴の県指定有形文化財「旧山川家」では、掛け軸と紅鯛(べんだい)を展示。紅鯛は近江町市場(上近江町)の正月初売りで縁起物として売られていた飾りで、和菓子店「落雁 諸江屋」(野町1)がもなかの皮で再現した。
国指定重要文化財「旧石倉家」では、菅原道真を祭る神社を模した大きな「天神堂」を、市指定有形文化財「旧平尾家」では、石川県特有の紅白の餅で作る鏡餅を、それぞれ展示する。
国指定重要文化財「旧松下家」では、天神堂を小型化した「箱天神」を展示。箱天神は1897(明治30)年ごろから金沢市内に広まり、長男の誕生祝いとして母親の実家が贈る風習があった。移築前には実際に飾られていた掛け軸のほか、年末の餅つきの際に作る飾り「杵巻(きねまき)」のレプリカを金沢市史を参考に制作して展示する。
同園技師の細野美希さんは「今では見かけなくなった正月飾りから、先人たちがどのような気持ちで新年を迎えてきたのか想像してほしい」と話す。「展示に使った旧家の建物を巡りながら、江戸時代から昭和初期ごろの正月の雰囲気を楽しんでもらえれば」とも。
1月25日まで。
同園の開園時間は9時~17時30分。入園料は、大人=310円、65歳以上=210円、高校生以下は無料。火曜休園(12月29日~3日は休園)。