学ぶ・知る

金沢市街地で唯一残る「石置き板ぶき屋根」建築の見学会 板ぶき実演も

旧北国街道に面した金沢市指定保存建造物の旧森紙店

旧北国街道に面した金沢市指定保存建造物の旧森紙店

  • 2

  •  

 金沢市内の市街地で唯一「石置き板ぶき屋根」が残る旧森紙店(金沢市野町1)の見学会が11月29日行われた。

金沢市指定保存建造物・旧森紙店の見学会

[広告]

 旧森紙店は、旧北国街道に面して立つ江戸末期の木造建築物。明治中期に森家が購入し、紙を販売してきた。1983(昭和58)年に市指定保存建造物の第1号として登録。その後受贈した金沢市が貴重な建造物を市民に知ってもらおうと、3年前から年に1度、特別公開している。

 木の板で覆い石を置いて固定した屋根全体の勾配は浅い。明治時代まで金沢では一般的な様式だったが、火事が頻発したことから禁止になった1908(明治41)年ごろから主流となった能登の黒瓦が今の金沢の歴史的景観をつくった。屋根の勾配も急になり、古い町家の中には瓦屋根の下に昔の板ぶき屋根が残っているものがあるという。

 当日は市の職員による解説の後、金沢職人大学の修了生を中心とした「木羽板(こばいた)研究会」による板ぶき作業の実演があった。木羽板とは板ぶきの屋根材で、水に強く能登ヒバとも呼ばれるスギ科の「アテの木」を使う。専用のなたと木づちで正目に沿って割り半分の厚みにするのを繰り返す「板剥ぎ」で、厚さ4.5ミリ程度の板にする。割った面には荒い溝状の筋が残るが、水はけのためには必要で、機械で製材した表面が平滑な板だと水が伝って裏漏りしたり湿気が抜けなかったりし、木造建物の維持に悪影響があるという。

 板ぶきは地域によってさまざまな組み方があるが、同研究会の活動では金沢特有の組み方を調べ、実践している。古い木羽板を新しい板に換えるなど、毎年メンテナンスが必要だという。

 見学会に参加した女性は「大通りに面しているので普段から見ていた建物。歴史を知るだけでなく建物内を見学できて良かった」と話す。

ピックアップ

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース