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金沢に実在するカフェが舞台のミステリー小説 店主が作家デビュー

作品をアピールする作家の峰月響介さん(謎屋珈琲店店主の郷司峰義さん)

作品をアピールする作家の峰月響介さん(謎屋珈琲店店主の郷司峰義さん)

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 ミステリーカフェをコンセプトにした「謎屋珈琲(コーヒー)店」(金沢市安江町)を舞台にしたミステリー小説「謎屋珈琲店 21番目の挑戦」が10月28日、河出書房新社から刊行された。

ミステリー小説「謎屋珈琲店 21番目の挑戦」

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 著者は同店店主の郷司峰義さん。もともと作家を目指し、老後に喫茶店を開くのが夢だったが、新人賞などに応募するもかなわず、「まず喫茶店をしよう」と自家焙煎(ばいせん)を学び、2015(平成27)年に開業した。「エルキュール・ポアロ・マイルドブレンド」など名探偵の名前にちなんだコーヒーや「三つの棺(ひつぎ)」など推理小説のタイトルを冠したスイーツを提供。軽食と飲み物をセットで頼むと謎解き問題に挑戦できる趣向で話題を集め、金沢市内に2店舗、東京都内に1店舗を展開している。

 担当した編集者・戸川安宣さんから声がかかったのは3年ほど前。社会人サークル「金沢ミステリー倶楽部(くらぶ)」に参加していた郷司さんは、無料の会報誌に短編小説などを10年以上寄稿していた。冊子が戸川さんの目に留まり、謎屋珈琲店を舞台に長編小説を書いてほしいと依頼が舞い込んだ。郷司さんは「カフェを舞台にした物語はたくさんあるが、実在する店で起こるミステリー小説は珍しい」と話す。推敲(すいこう)を重ね2年ほどかけて書き上げ、夢であった作家デビューを果たした。

 著者のペンネーム峰月響介が「謎屋珈琲店」を営む主人公として登場し、店のメニューや仕組み、店内の描写なども忠実に描かれる。小説のタイトル「21番目の挑戦」も店の謎解き問題にちなんだもの。飲食店経営の裏事情や苦労話など、実際のカフェ経営者としての視点も盛り込んだ。物語は3話の連作短編となっており、50代のアルバイト希望者が面接に訪れ、突然体調を崩すところから始まる。アドバイザーの友人と、謎を解き明かしていく。

 郷司さんは「ミステリー好きはもちろん、実際に店に来てくれている人も楽しめると思う。経営者であることも強み。意外とこれからカフェを始めたい人も勉強になると思う。ミステリーの魅力は、きっとこうなるであろうというものを、まさかと裏切ってくれる気持ち良さだと思う」と話す。

 単行本の発売を記念したトークイベントが11月29日、石川県立図書館で開催される。

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