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金沢美大で柳宗理のデザイン展 椅子を「手で考える」プロセス展示

「シェルチェア」関連資料の展示

「シェルチェア」関連資料の展示

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 柳宗理の企画展「柳宗理 デザインの軌跡 -三つの椅子ができるまで-」が9月2日、金沢美術工芸大学(金沢市小立野2)のアートギャラリーで始まった。

金沢美大で始まった「柳宗理 デザインの軌跡 -三つの椅子ができるまで-」

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 来年が開学80周年となることから、記念プレイベントとして同大学の美術工芸研究所が企画した。

 柳宗理は1950~1990年代に活動した工業デザイナーで、「バタフライスツール」や照明器具、カトラリーやキッチン用品など数多くの工業製品をデザインした。約50年にわたって金沢美大にも教えに来ていたことから、同大学では没後に柳宗理デザイン研究所(尾張町2)を設立し、調査・研究をしている。

 展示は柳が晩年に手がけた天童木工(山形県天童市)の「シェルチェア」と「スタッキングチェア」、モノモノ(東京都)の「三角スツール」の3つの椅子の開発過程を展示する。柳のデザイン事務所・柳工業デザイン研究会(東京都)と、同事務所から寄贈された資料を収蔵する金沢市が、それぞれ保管している膨大な資料から選出した。

 柳は頭の中だけでなく実際に手を動かして模型やサンプルを作ることでデザインを深めていく方法を重視し、「手で考える」として同大学の教育方針で伝統的に受け継がれている。展示ではその手法やプロセスが分かるような模型や道具などを展示する。

 会場では、試作品や製品、紙や石こうなどで作ったミニチュアモデル、スケッチや図面などを展示するほか、デザインのディテールや製品の仕上げなどの詳細について壁面パネルで解説する。柳が実際に事務所のアトリエで使っていた製図版を使った机も、当時の作業の様子を再現して展示する。

 会場の外では、柳が世界各地で撮影した写真のスライドショーをモニターで上映するほか、製品の椅子に座って座り心地を体感できるコーナーも用意する。

 関連企画として、10月17日に柳工業デザイン研究会のデザイン主任がギャラリートークを行うほか、11月21日には講演会を行う。

 開館時間は9時30分~17時。月曜休館。入館無料。11月25日まで。

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