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金沢21美で西田幾多郎をテーマに映像演劇作品を上映 作者ら招きトークも

上映会場では12枚の映像パネルに朗読する等身大の役者が映し出される

上映会場では12枚の映像パネルに朗読する等身大の役者が映し出される

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 「西田幾多郎の哲学テキスト『直接に與(あた)へられるもの』をみんなで朗読している映像演劇」が6月21日、金沢21世紀美術館(金沢市広坂1)で始まった。

「西田幾多郎の哲学テキスト『直接に與へられるもの』をみんなで朗読している映像演劇」

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 演劇カンパニー「チェルフィッチュ」主宰で演劇作家の岡田利規さんが作・演出を、舞台映像作家の山田晋平さんが映像を担当し、哲学者・西田幾多郎の論文「直接に與へられるもの」をモチーフにした映像演劇作品を上映。会場には、12枚の映像パネルが客席を囲むように円形に配置され、論文を朗読する役者が1人ずつ等身大で映写される。

 1年目の金沢市での滞在調査、2年目のワークショップを経て、市民の中からオーディションで選ばれた役者10人が、岡田さんの演出を受けながら、難解な哲学テキストを順番に1文ずつ朗読していく構成になっている。岡田さんによると「鑑賞者は、まるで朗読のリハーサルの場に自分も参加しているような感覚になる」という。

 公開初日には、石川県西田幾多郎記念哲学館・研究員の高谷掌子さんをゲストに迎え、岡田さんと山田さんによるトークが行われた。高谷さんは実際の研究の現場でも輪読が用いられていることに触れ、「西田の論文は、初めから構成が決まって書いているというより、連想ゲーム的な形式で書かれており、一文一文を順に輪読していく手法は理解する上で役に立つ」と解説。岡田さんは「朗読者が『分かった』と感じて読むと、読み手を通して、自分も『分かった』と感じる瞬間があり、それをやりたかった。その経験は1人ではできないこと」、山田さんは「鑑賞者はある意味、西田のテキストを理解しようとする訓練の場に、一緒に参加していると言えるかもしれない」とそれぞれ話した。

 各日12時から1時間ごとに4回上映。料金は、一般=2,000円、25歳以下=1,000円。今月29日まで。

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