
展覧会と音楽ライブを組み合わせた「K-zone.“祈りの音(とき)”を聴く~Listen to the Sound of Prayer~」が2月26日から、金沢21世紀美術館(金沢市広坂1)のシアター21で開催される。
同館の芸術交流共催事業「アンド21プラス」に採択されたイベントで、映像制作会社「K-zone.」(東京都大田区)が主催する。同社ディレクターで映画監督の岸建太朗さんと録音技師の落合諒磨さんが東日本大震災発生の翌年から宮城県松島沖で鳴らされる「追悼の汽笛」を11年間録音し続けた音源を軸に、無料の展覧会と有料の音楽ライブで構成する。
当初は関連イベントを含め2024年1月~3月の 開催予定だったが、直前に能登半島地震が発生し、無期限で延期となっていた。岸さんは延期を受けて「東日本大震災への追悼と祈りの音をテーマにした企画だったが、能登を含めずにはいられないと感じた。復興への願いを音として形にして伝えたい」と、能登に通って被災した人などに取材を重ねたという。
1部の展覧会では、11年分の追悼の汽笛を6台のスピーカーから再生するインスタレーションを中心に、追悼の汽笛を可視化したスペクトログラムや絵画などを展示する。震災で破損した珠洲焼の水瓶を銀継ぎの手法で修復し、能登の「總持寺」(輪島市)と「永光寺」(羽咋市)、宮城県松島町の「瑞巌寺」の湧き水を注いだ水琴窟として音を体験できる取り組みも。
2部の音楽ライブでは「 3.10 汽笛のための弦楽伴奏曲」に併せて、金沢市在住の女優でダンサーの佐藤栄那さんが祈りの踊り「Pray record」のパフォーマンスを行う。岸さんが仙台市荒浜で出会った人から聞いた「テディベア慈母観音」にまつわる死と追悼の物語を描いたドキュメンタリーも上映する。
佐藤さんは「父が宮城県、母は石川県出身で、震災には敏感になっていた。この企画に参加させてもらえることはダンサーとしても表現者としても、ありがたくうれしいこと。見る人の祈りの記憶を呼び起こせるような踊りを披露できたら」と意気込む。
関連イベントとして、能登の食や復興について考える「Think Sea~食で繋(つな)がる北陸×東北~」や短編映画の上映も行う。
展覧会の開催時間は10時~17時。入場無料。音楽ライブの開演時間は19時(土曜・日曜は13時30分、18時30分)で各回約70分。入場料は一般=2,800円、25歳以下・65歳以上=1,500円、小中学生無料。3月4日まで。