
まち歩きと食事を楽しんでもらうイベント「金澤迷宮体感バスツアー」が2月15日、金沢市内で行われた。
食材が豊富になる冬に観光客が減少するという課題から食をテーマにしたイベントとして1985(昭和60)年に金沢商工会議所や金沢青年会議所などが主催して始まった「フードピア金沢」の一環。40周年となる今年は「食めぐり」「老舗よもやま話」「茶席と茶懐石」など22のイベントを企画している。4回目となるバスツアーは、まち歩きの後に「カフェ&ブラッスリー・ポール・ボキューズ」(金沢市広坂2)で食事をするプログラムで、15人が参加した。
当日のガイド役は、金沢生まれの音楽・映像クリエーターのモリ川ヒロトーさん。フリーアナウンサーの戸丸彰子さんが相手を務めた軽妙なトークとともに観光客があまり訪れないような横山地区、野町・泉野地区の住宅地を回った。
横山地区では五差路になっている藩政時代の防火機能を持つ広見と呼ばれる広場や、浅野川に架かる常盤橋、迷路のように入り組んだ道を歩きながら、歴史的な区画の中で営まれる住民の生活を垣間見てもらった。旧鶴来街道の東に広がる野町・泉野地区では、道を隔てて雰囲気が異なる住宅地や点在する個性的な建築、渓谷のような用水や数少なくなった竹林などを回った。
モリ川さんは「歩くと空気感が変わる場所があることに気付く。歴史の中でさまざまな人々が住んできたことで作られた空気で、食や文化に影響を与えてきた」と話す。「金沢は観光名所が多いので、まち歩きで町の魅力をわざわざ探す人は少ないかもしれないが、この面白さを多くの人に知ってもらいたい」とも。
参加した女性は「金沢に住んで長いが、来たことがなかった。普段はあまり歩かないので疲れたが、歩かないと気付かないことが多い」と話していた。