金沢倶楽部(くらぶ)が38年にわたり発行していたタウン誌「Clubism(クラビズム)」のバックナンバーが1月15日から、香林坊のコワーキングスペースで公開されている。
バックナンバーが公開されているのは、「コワーキングスクエア金沢香林坊」(金沢市香林坊2)。会員制のスペースだが、受付に申し出た人には誰でも閲覧に応じている。
同誌は1982(昭和57)年、「月刊金沢倶楽部」として創刊され、1983(昭和58)年には「月刊CLUB」に、2006(平成18)年には「月刊Clubism」に、それぞれ誌名を変更し、2020年に廃刊となったタウン誌。全ての号のバックナンバーを合冊製本された状態で公開している。記事を通してファッション、商品、イベント、音楽、映画、飲食店など、当時の流行や文化を追体感したり、広告やアパート・アルバイト情報などから社会や経済の状況を確認したりできるようにした。
バックナンバーを所有しているのはエイブルコンピュータ(金沢市武蔵町)社長の新田一也さん。同社が提供するスマホアプリ「古今金澤」に組み込んできた江戸時代から戦前までの地図情報に加え、新たに組み込む戦後の情報を収集する中、破産財産の清算で金沢倶楽部がバックナンバーを手放すことを知り、入手した。事業に役立てるだけではなく、「金沢愛」を市民と共有したいと、知人を介して知った同スペースで公開してもらうことにした。「38年もの長い間、金沢市民に愛された雑誌なので、幅広い年代に懐かしいと思ってもらえるはず。往時の情報がこれだけ多面的にまとまっているのは、資料としても貴重」と話す。公開に当たっては博物館への寄贈なども検討したという。
同スペースを運営するヨシオ工業社長の徳野新太郎さんは「同誌のファンだったので、相談してもらえうれしかった。見て『懐かしい!』と盛り上がってもらいたい。昔の金沢を知らない若い人にとっては発見があるはず。これからの金沢を考える上で役立つ情報があると思う」と期待を寄せる。
閲覧した男性は「若い頃に取材で撮影された写真が掲載されている記事を探してみた。金沢が好きなのでよく読んでいた」と話す。
閲覧時間は10時~18時。平日のみ。無料。