全面リニューアル工事が進む金沢市民の台所「近江町市場」(金沢市上近江町)で12月1日、来年4月の全館グランドオープンに先駆けて「近江町いちば館」が一部オープンした。
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昨年3月に着工した再開発ビルの中で今回オープンしたのは、武蔵ケ辻交差点の南西に建設された地上5階、地下1階の鉄筋鉄骨コンクリート造りの建物のうち、地上1階の市場店舗部分の約4,600平方メートル。全約140店の中で、工事中に仮店舗として営業していた37店が今回営業を開始した。
新設された「新通り」は道幅が5.4メートル、天井の高さが7.5メートルと広々とした明るい雰囲気で開放感がある。魚介、野菜、果物などを中心に扱う「青果通り」では対面販売の形式を引継ぎ、威勢のよい掛け声が響き渡る中、年末商戦が活気づいている。
来年4月には先行オープンした店を除く既存13店と、地下1階にスーパーとドラッグストアなど15店、2階に飲食店10店、3~4階に市民が利用する公共施設と駐車場、5階にオフィスなどが入る予定。地下道も整備し「めいてつエムザ」とも結び、エリア全体の活性化を狙う。
藩政時代から290年以上も続く歴史のある同市場は、これまで日曜を休場としていたが、今回のオープンに合わせ今月7日からは8割の店舗が日曜営業を開始。初の日曜営業となった同日には多くの買い物客でにぎわい、金沢港などの「朝獲れ魚」を売る朝市や餅つきショー、太鼓の演奏などが行われ、近江町名物ぜんざいも振る舞われた。
日ごろから市場を利用している地元客は「通りが広くなって買い物しやすくなった」「対面販売で市場の雰囲気が以前と変わらず残っているので安心した」と新生市場を楽しみながら買い物し、市場関係者は「新しくなってもお客さんと気軽に話ができる市場ならではの魅力を大切にしたい」と話す。